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3Dスキャンでぴったりサイズを実現!オーダーメイドパンプス「AYAME」(後編)

現代のファッションビジネスのキーワードのひとつが、パーソナライズだ。それは色や形といったデザインからのアプローチもあるが、同時に重要なのがサイズやフィット感だろう。特に靴は、サイズが合わないものを履くのは難しい。ブランドによるサイズの違いはもちろん、足は左右でサイズが異なり、靴のサイズ選びに悩む人は少なくないだろう。特にECでは試着が難しく、靴の購入をアシストする計測サービスも登場している。

そのような中で登場したのが、オーダーパンプスを手軽な値段で楽しむことができるサービスAYAMEだ。AYAMEは月額3500円のサブスクリプションサービスで、3Dスキャンを駆使して自分にぴったりなサイズ感と理想のデザインのパンプスを手に入れ、手厚い保証を受けることができる。このオーダーパンプスサービスの詳細や想いを探るべく、運営する株式会社crossDs Japanの代表を務める諏訪部梓さんにお話を伺った。

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3Dスキャンと職人技を織り交ぜた生産体制

ーースキャンからパンプスの完成まで、どのような手順で行われるのでしょうか?

足の3Dスキャンから靴型のデータ作成、パンプスの製作と全て自社内で行っています。足の計測自体は、靴の知識のない方でも対応出来るぐらいに簡単になっております。実際は、靴型のデータ作成をする者が計測をしておりますが、専門でない方でも、半日程度の練習で計測可能です。

足の計測を行った後は、靴型の3Dデータを専用のソフトウェアで作製して3Dプリンタにかけます。タイミングにもよりますが、計測後その日のうちに靴型のデータ作成が終わっている事がほとんどで、夜帰るときに3Dプリンタにかけておき、翌日プリントが終わっているような状態が標準的なサイクルになります。

従来靴型は専門の業者に出して3ヶ月ほど待たないと出来上がらない、価格も高い、担当者が変わると品質がばらつくなどがあり、オーダーメイドパンプスの価格を押し上げ、納期が長くなる、オーダーしているのに足に合わないなど多数の問題が発生していました。当社は靴型に3D技術をふんだんに使い、精度向上、納期短縮を実現させる事で革新的なサービスを提供出来るようになっております。

靴型だけではパンプスは作れません。注文に合わせて革を購買したり、必要な部材を手配したりします。部材が揃ったら、ここからは伝統の技でパンプスを作り上げます。自社の職人が2人がかりで1足1足丁寧に伝統の製法で仕上げていきます。最新の3D技術を使った足にピッタリの靴型を使い、信頼のある匠の技術で仕上がるパンプスは一度履くと他のパンプスが履けなくなるほどです。

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ーー計測する3Dスキャン技術も、自社開発なのでしょうか?

3Dのスキャナは、既製品を使っています。自社での開発を検討したこともあるのですが、技術の進化が近年早いため、より良い精度の3Dスキャンが行える製品が手頃な価格で購入できるようになってきており、基礎的な技術開発も重要ではあると思いますが、製品のスキャン方式の裏にある技術を理解して、特性に合わせた使い方をして行く方が現時点では経済的であり効率的なため、スキャン技術は外部製品を上手く使う方針で現在は進めています。そのため、より安い、手軽なスキャナがでてきたら乗り換えができるように、全体のワークフローは構築してあります。

ーースキャンしたデータから3Dプリントで靴型にする過程で、難しいポイントなどあれば教えてください。

スキャンした足形の外形を取ればそのまま靴型が出来るような簡単なモノではないため、靴型の3Dデータ作成はとても難しい点です。詳しくは公開できない情報となりますが概略だけご紹介します。

パンプスは他の靴とは異なり、甲が開いており足を覆う革の面積が少ない靴になるため設計がとてもシビアになります。足の長さと幅はもちろん、足全体のさまざまな情報から適切な締め付けとゆとりをバランスさせることで歩いても脱げない靴を作ることができます。

当社では、単純に地面に立った状態の足だけではなく、ヒールと同じ高さの台に乗ってもらった状態の足も3Dスキャンする事で、より靴型の精度を向上させています。

改良を積み重ね、サブスクで関係を長期的に

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ーー市場では、いくつか3D計測サービスが登場しておりますが、貴社のサービスの強みは何でしょうか?

パンプスに関しては、靴型のできばえにより、足に合う合わないのところでは大きなポイントになります。この靴型を3Dスキャンから効率良く、精度良く作り上げる事ができる所が大きなポイントです。また、自社内でパンプスの製造も行っているため、靴造りの部分で靴型の形が上手く表現できるように連携して靴型の改良も日々行っています。

そして、量産靴のように、オーダーメイドパンプスを効率良く作れるような仕組み作りも着手しており、今後のサービス成長のステージに合わせた次ステップの体制も準備しています。

ーーサービスをリリースして、購入されたユーザーからの反響はどうでしたか?

「幅に合わせるとサイズが大きすぎてパカパカさせて歩いていた。」「足が細いのでほとんどのパンプスは履けなかった。」など、現状の量産品では足に合わなかった方が、出来上がったAYAMEを履いたときには、目を見開いた様子で、「スゴイ!足に合ってる」などの感動のお言葉を頂きます。また、履いて頂くと軽いというお言葉も頂きます。

軽さについては特に狙って軽くしているという事は無いのですが、足全体でパンプスをちょうどよく覆えているため、重さが足全体に分散して軽いと感じられるのではないかと分析しております。AYAMEは足に合わせた靴型からパンプスを作る為、余計な飾りなしで足にピッタリで結果的に軽く仕上がり、より足の負担軽減がなされていると分析しております。

ーーでは、今後のサービス拡大のご予定があれば教えてください。

現在はパンプスだけですが、今後対応出来る靴の種類を増やしていこうと考えています。靴全般をカバー出来るようになるためには、それなりの時間も掛かるため、現時点では靴以外の分野への展開は未定です。

まずはトコトン靴の分野を開拓していこうと考えています。例えば、全国に靴教室に通い靴は作れるけど、それで稼ぐようなことを出来ていない隠れた靴職人の方が沢山いらっしゃいます。靴型は自信ないが、靴作りならまかせろというような方に、当社の靴型を提供させて頂き、全国の職人さんに作ってもらえたらと考えたりしています。

ーー最後に、オーダーメイド品をサブスクで提供するというサービスモデルには、どのような可能性や課題があるとお考えですか?

3Dスキャンしてひとり一人に合わせてモノを作るオーダーメイドパンプスは、本来サブスクに向くような商品では無いです。コンテンツのように何度も消費できるようなモノではありません。また、インクのように日々消費して無くなっていくようなモノでもありません。利用終了後に別の方に販売をするような事も出来ません。

しかし、逆を考えれば、3Dスキャンとサブスクは、その人と長いお付き合いをするための良い仕掛けとなると思っています。3Dスキャンして作るものは、その方専用の1点モノとなります。お客様の足の事をよく知りお抱えの靴屋になれる可能性を秘めています。そして、サブスクで月々ご利用料金を頂くため、売り切っておしまいの見栄えだけの良い商品、サービスではダメです。しっかりとした中身のある、信頼の置ける商品、サービスでなければなりません。

これらを上手く組み合わせ、クリアしていけば、お客様も満足され、当社も成長できるそして、足に合わない靴を履いて痛い思いをしているという社会の問題を当社は一つ解決出来るのではないかと考えています。

ーーありがとうございました。

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AYAMEは、3Dスキャン、3Dプリント技術を利用することで、自分にぴったりと合う上質なパンプスを気軽に楽しめるようにした、現代のオーダーメイドであった。特に、最新の3Dプリント技術の技術的進化を見定めながら、職人の手作業とミックスさせている点が興味深い。

さらにサブスクライブの形態を取ることで、体型やライフスタイルの変化にも対応できるような中長期的な連携ができるのもユーザーとしては嬉しいサービスだ。今後の技術の向上によって、また生産体制のアップデートによって、さらにAYAMEの可能性が広がっていくことを楽しみにしたい。

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