映画を見ながら服を買う、三陽商会の新ブランド「CAST:」
映画のキャストが着ている衣装を、映画を見ながら購入できる。
2019年8月1日株式会社三陽商会は「人生という物語を、演じるための服。」をコンセプトとして20~30代後半の女性向け新ブランドCAST:(キャスト)を発表。
コンセプトを表現するため、1つのブランドから価値観やライフスタイルの異なる女性像を立てた3ラインを展開。また新たなマーケティング方法として映画を見ながら商品が買える”シネマコマース”を導入した。店舗もRFIDやデジタルサイネージなど工夫されたものとなっている。
映画を見ながら服を買う、、、?
Image Credit : 三陽商会
シネマコマース型のファッション販売とはオンラインで公開中の映画「CAST:」を観ながら、登場人物の衣装を選択すると、ECサイトで直接商品が購入できるシステムだ。
Fashionsnap.comで特集が組まれるほど、映画やドラマの登場人物が着ている服を気になるユーザーは多い。
またブランド側も、ただお店で服を展示するのと違い、映画を活用することでコーディネート、着こなし、着用シーン、それぞれのラインのイメージをユーザーに伝えることができる。そのためユーザーも自分が商品を着ている様子を想像しやすく、商品購買に繋がるということも十分あり得るだろう。
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実際に映画を見てみると、それぞれ登場人物が悩みを抱えており、完璧ではない姿が感情移入できるポイントだった。また、ポスターもあえて顔が塗りつぶされていることで、自分と主人公を重ね合わせやすい。自分らしさがキーワードとなる映画を見ながらこういう人になりたいと、服を買う人もでてくるだろう。
一方で、わざわざファッションブランドの映画を見ようという人がどれだけいるのかは疑問だ。
服を買うために映画を見ようという人は少ないと考えられるため、逆にNetflixやAmazon Prime Videoなどの既に映画やテレビを提供している媒体で商品がチェックできると新たな購買の可能性が拓けるかもしれない。
共感を呼んで、人を軸に服を買う
今回のブランドがそれぞれ異なったライフスタイル、価値観の人物を軸に3ラインを展開していることも今までにない施策だ。ファッションが多様化され、ライフスタイルや価値観と強く関わりをもつようにになった中で映画やInstagram、そして店舗までも人を軸に商品を販売している。
Image Credit : 三陽商会
instagramでは登場人物ごとに画像の加工を変え、服とは関係のない仕事の話などライフスタイルを伝えることでユーザーから共感を呼んでいる。
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店舗でも3ラインごとにディスプレイを分けて、シャワーブースを設置したり家具を置いたり、より映画に近い世界観を表現している。
店舗ではファッションテックを活用
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更に店舗ではテクノロジーの導入も進んでいる。
CAST:の店舗では三陽商会のブランドで初めてRFIDタグを導入。ショップ内のミラーサイネージにRFIDタグをかざすと、着用スタイリング、サイズ展開、価格やECサイトのQRコードなどが表示される。丹青社のデジタルミラーMYCLOのように、オフラインとオンラインの良さをいいとこ取りした面白い取り組みだろう。
業績不振が続きながらも、ファッションとライフスタイルをベースに共感を生み出すことで売上をあげた三陽商会。そのライフスタイル提案の仕方として、シネマ型コマース、RFIDなどファッションテックに注目した三陽商会に今後も注目だ。
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