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ダサくないスマートウェアはもうすぐ、スマートウェアの可能性を広げる「導電性繊維」

ニュースサマリ
2019年1月、南京大学らのグループが安価で簡単に均質な導電性繊維を作成する手法を開発した。具体的には繊維をAg Nanowire(銀の細かいナノサイズのワイヤー)が分散した液に浸し、表面にAg nanowireを定着させる、という方法。ナイロンに適用したところ抵抗値が圧倒的に低く、10回程度洗濯してもほとんど性能の低下はみられなかった。彼らはナイロン以外にも、ポリエステルやコットンといった材料に有効であることを確認しており、いわゆるシリコン状のゴムを糸状にしたサンプルを用いることで伸縮性の導電糸になる応用も示している。

A Silver (Nano)lining For Smart FabricsA Silver (Nano)lining For Smart Fabricsvia Asian Scientist Magazinevia Asian Scientist Magazine

話題のポイント
2018年、ウェアラブル端末はスマートウォッチが流行りました。
今後はどんなものが流行るのでしょうか?

2018年に発売されたものをみてみると、MercuryのスマートジャケットJimmy Chooのスマートブーツのように衣服や靴が多く発売され、デザイン性や機能性も向上してきました。
今後「スマートウェア」が流行る可能性が高いといえるでしょう。そしてその為には、大元となる繊維、導電性繊維の発展が鍵となります。

導電性繊維とは電気を流す繊維のことで、スマートウェアにおいてはヒーターの役割を担ったり、動きやバイタル情報を取得する際の各種センサーやユニークな表現を可能にするLEDとの配線に応用できます。

また導電の糸の配置を工夫することでGoogleとLevi’sがスマートジャケットを共同開発した事例もあります。これはデニムジャケットにタッチセンサーをつけることで、スワイプしたりタップするだけで音楽の再生や電話、メール機能が利用できるものです。

Image Credit : Youtube by Levi's®

このように充実した機能を兼ね揃えた導電性繊維ですが、スマートウェアに採用できるほどのもの、つまり導電性が高く・軽く・変形でき・大量に・安価で生産できるものは未だあまり開発されていないのが現状でした。
またユーザー側としても、スマートウェアは高く、重く、着心地が悪いことが購入の障壁となっていました。

今回発表されたAg Nanowireは、現実的にどの程度使えそうかは注意深く見る必要がありそうですが、比較的安価に、繊維の柔らかさを維持しつつ、高い導電性を維持できるため非常に魅力的な開発です。

Wearable electronics could become more commonplace with the development of flexible and stretchable conductive fibers.
(変形しやすい 導電性繊維が発達すると、スマートウェアは当たり前のように皆が着るものになるだろう。)

2019年1月上記の発表を行った南京大学のグループはNanoでこのように語りました。彼らが語ったように、導電性繊維が発達すると今着ている衣服は過去の遺産になるかもしれません。

また彼らは今回この手法をナイロン以外にもポリエステルやコットンといった材料でも成功させたり、シリコンゴムを糸状にしたサンプルから伸縮性の導電糸を作れていることから、着心地デザイン性においても幅を広げることができるでしょう。

つまり、この技術はスマートウェアの機能性や耐久性を高めるだけではなく、着心地や重量、デザイン性も向上・多様化することで、快適でオシャレなスマートウェアへの道を切り開く可能性があります。


多くのファッションテック商品が出てくる中で見逃せないスマートウェア。今回のような技術を理解し応用していくことで、機能性だけではなくデザイン性、そして「ファッション」を更に楽しめるようになるのもあと数年かもしれません。


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