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618商戦を展開するアリババ。Tmall、タオバオのライブ配信にAIを活用

服の売り方として主流になってきたライブコマース年々変化しているライブコマースだが、ライブコマースといえばアリババグループ(阿里巴巴集団)のタオバオライブ(淘宝網)の伸びが顕著だ。
2019年3月末に開かれたタオバオライブ配信の祭典(淘宝直播盛典)では、ここ3年でタオバオのライブ配信は1000億元(日本円で約1兆5千億円)規模のサービスに進化したことを発表。現在では1日6万件を超えるライブ配信が行われ、年間の取引額が1億元(日本円で約15億円)を超えた配信者も多数いるという。

これほど大きなマーケットとなったタオバオライブだが、今年の618商戦(6/1〜6/18に中国全土で開催されるセールイベント)では、AIカスタマーサポートが利用された。

Image Credit : Alibaba Group

ライブコマース×AI

アリババがタオバオとTmall(天猫)による618商戦で利用したAIカスタマーサポートは「直播小蜜」。

618商戦は、1日の取引総額が5.3兆円にも及ぶ中国最大のセールイベント独身の日に続いて大きなセールイベントとなっている。618商戦では何千人もの消費者がタオバオライブを視聴し、商品の購入を検討する。一方ライブ配信者は放送中は新製品の紹介に忙しく、視聴者からきた商品詳細やサイズなど細かい質問は対応できないという。以前は人間のカスタマーサポートがそうした問題に対応していたが、今年はアリババ最新のAIサービスが活用された。

直播小蜜は他のAIカスタマーサービスと比較して自然言語処理、ライブ放送中のリアルタイムでの正確な分析、金額など商品の複雑な質問の対応や表現に強みがあるそうだ。そのため直播小蜜を利用することで今まで触れることができなかった質問への回答率、解決率が上昇し、複数人から一斉にくる質問にも迅速に効率的に対応できるようになったという

Image Credit : Youtube by Alibaba Group

ライブコマースはファンと交流する場所に

今回のようにAIがライブコマースに活用されると、配信者は視聴者との会話を純粋に楽しめるようになるだろう。

百度の記事によると、ある会社は毎日タオバオでライブ放送を4〜6時間するとファッションアイテム特有の、サイズや色の展開、クーポンなどといった質問に対して最低でも50回は繰り返し答えるはめになるという。一方で直播小蜜を導入して以来、これらの簡単な質問はAIによって自動的に返信されるようになった。そのためライブ配信者は視聴者との会話を楽しんだり、より多くの質問を答えられるようになったという。

つまり簡単な質問をAIに任せることで、ライブコマースは単なる商品紹介の場所からファンとインタラクティブに交流する場所へと変化する可能性が高い。

更に2018年にアリババはグローバリゼーションの第一歩として英語を含む10以上の言語をXiaomiに対応させている。ライブ配信者が言語の壁で答えられないような質問もAIがカバーできるようになると、タオバオライブ配信の影響力は全世界へと広がっていくだろう。

Image Credit : Alibaba Group

配信者と視聴者がより交流できるように使われたAI、直播小蜜。ライブコマースによってアリババの売上が増加していることを考えると、これからのライブコマースは、ただの商品紹介ではなくファンとのインタラクティブな交流が重要になっていくのかもしれない。


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