フェイスブックの仮想通貨Libra、ファーフェッチの決済方法も変わる?
Facebookはブロックチェーン技術を利用した仮想通貨Libra(リブラ)を2020年に提供することを発表した。Libraはオープンソース化され、テストネットを公開中だ。
Libraは通貨と一定比率で交換できるステーブルコインだ。
ユーザーはLibraを使うことで、Facebook MessengerやWhatsAppなどでの送金やSptify、Uber、FarfetchなどのLibraに参画する企業のサービスをLibraで払える可能性がある。これらの機能によって、国を超えての効率的で安全な支払いができるようになったり、これまで金融サービスを受けられなかった人でも簡単に各種サービスを利用できるようになったりするという。
Libraのニュースに関して注目すべきは運営に携わるLibra協会の創設メンバーにFarfetchがいることだ。
FarfetchはLibra協会の唯一のファッション系企業であり、ファッション業界を牽引するファッションテック企業として認識されていることを示しているだろう。
FarfetchがFacebookの仮想通貨を使うようになると、ファッション業界にどういった変化が訪れるのだろうか。
Image Credit : Libra
月間23億人を超えるFacebookの利用者がFarfetchに
23億人を超える月間アクティブユーザーをもつプラットフォーム企業Facebookが開発しているLibraの創設メンバーにはFarfetchの他に、VISA、PayPal(ペイパル)、Uber Technologiesに加え、eコマースのeBay(イーベイ)やオンライン宿泊予約サービスBooking Holdings Inc.など様々な企業がいる。Facebookだけでも十分なユーザー数だが、これだけ多くの企業がLibraに参加するとなると、Libra経済圏ができることも十分にありえるだろう。
その中で唯一のファッション系の企業がFarfetchだとするとLibraを使うユーザーはファッション系の買い物はFarfetch内で済ませたいと思うようになっていくだろう。それによってFarfetchがファッション業界をより牽引していく存在になっていくはずだ。
一方でFarfetchは非常に多くのファッション企業と関わりがあるため、Farfetchを皮切りに多くのファッション企業がブロックチェーンを使うようになる可能性が高い。そしてファッション業界全体として決済が一括化されていくので、より簡単により効率的にユーザーはファッションを楽しむことができるようになるだろう。
Image Credit : Libra
商品のライフサイクルの把握が簡単に
更に多くのファッション企業がブロックチェーンを使うようになるとファッションアイテムの中古としての再販やシェアが促進されていくだろう。
Farfetchが中古の取り扱いを始めたことで話題になったが、最近の中古市場の伸びは著しい。しかし中古商品、特にブランド物などの高級な中古品を買う時にそのアイテムが偽造品でないかや、どういった経緯で作られたか心配する人も多いのではないだろうか。
その際ブロックチェーンは情報を追跡可能で変更不可能なため、偽造品防止やサプライチェーンの透明化に利用することができる。
またアイテムのシェアに関しても、マッチングを補助するシェアリングエコノミーのビジネスモデルが個人間のネットワークを構築するブロックチェーンと相性が良い。
ブロックチェーンで個人間が繋ぎやすくなることによって、今はまだ主流ではないC2Cの服のシェアサービスが流行することもあるだろう。またブロックチェーンによって今までだとシェアしにくかったスキルや個人データまでもがシェアできるようになるので、例えば服とコーディネートの提案をパッケージとして個人間でやり取りすることも可能だろう。
Image Credit : Libra
ブロックチェーンは今よりも中古の再販やシェアの市場を拡大させる可能性を秘めている。そのためファッション業界は、消費者に新しい服を買い続けてもらうことで売上をあげている今の現状を、変化する必要性に迫られるかもしれない。
そしてファッション業界は循環型社会への第一歩を強制的に踏み出すことになるだろう。多くのユーザー数をもつFacebookとFarfetchが協同でブロックチェーンを開発していることは、決済が一括化される以上に大きな変化をもたらすかもしれない。
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