新しい生活様式におけるマスクとは?RazerがCES 2021でスマートマスク「Project Hazel」を発表
初のヴァーチャル開催となったCES 2021では、ゲーム向けの機器を展開するRazerがスマートマスク「Project Hazel」のプロトタイプ版を発表した。今や世界中で医療用マスクの装着が一般化したためか、CESでもこのスマートマスクは話題となっていたようだ。ゲームとマスクという組み合わせは長年ゲームデバイスを開発してきた同社ならではのアイデアで、既に製品化が待ち遠しい。
今回は「Project Hazel」の機能や開発背景、今後の展開について、ソフトウェア・マーケティング部門のディレクター、Kushal Tandon(クシャール・タンドン)氏にお話を伺った。
パーソナライズを視野に入れたデザイン
「Project Hazel」は口元が見える透明の樹脂、サステナブルでリサイクル可能なプラスチックで出来ていて、マイクとアンプ、曇りを防ぐアクティブベンチレーターが内蔵されている。機能面から見ても、マスクで声がこもってしまうという問題を解決してくれるし、蒸れも防止してくれることが、装着者にとっても相手にとってもメリットがある。さらに、シリコン製のノーズガードは密閉を助け、マスクとしての精度も担保されている。
さらに約1680万の色とライティングエフェクトをカスタマイズできるRazer Chroma RGBも搭載されていて、Razerの様々なPC周辺デバイスのライティング環境との同期・連動が可能という特徴がある。低バッテリー通知やフィルター変更通知などの機能・目的でChroma RGBが必要となると同時に、Razerのユーザーにパーソナライズされたフェイスマスクを提供することにこだわったという。
100万枚の医療用マスク提供から、スマートマスクの開発へ
このようにゲームファンのためだけでなく様々な場面で活躍しそうな「Project Hazel」だが、実は同社はパンデミックの緊急時に100万枚の医療用マスクを寄付するという活動を行っていた。この活動を通して医療用マスクに必要な技術的な用件を学び、それが「Project Hazel」の開発につながっているという。開発の経緯についてタンドン氏は次のように述べている。
「パンデミックの中、医療機関を支援するということを目的とした『#Razerforlife』イニシアチブから始まり、高品質の医療用マスクを製造するために必要なスキルを学びました。 私たちのチームは2021年に向け、New Normal (ニューノーマル/新しい生活様式)にはゼロから設計された新たなマスクが必要であると判断し、『Project Hazel』が誕生しました。」
また開発チームは、医療機器の製造に必要な厳格な要件に精通した科学者やエンジニアによって構成されているという。上述したアクティブベンチレータなどのテクノロジーについても、長年の経験を積んだエンジニアがそのスキルを活用して「Project Hazel」のプロトタイプ開発にこぎつけたそうだ。
コミュニケーションツールとしてのマスク?
タンドン氏にCESでの発表の感触を聞くと、世界中からポジティブなフィードバックがあったとのこと。そのフィードバックを含め、現在「Project Hazel」はコンセプト面からも社内で審議を進めているという。
ウェアラブルデバイスにマスクが登場したことは現在の世界の状況を反映しているが、口元へのデバイス装着にも新しい可能性を感じる。マスクの着用によって顔の約半分が隠されてしまうことによって伝わらない表情などの機微を「Project Hazel」は伝える手段になる上、他者とのコミュニケーションにおいて表情や化粧と違った方法で意思伝達を可能にしてくれるかもしれない。
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