文字検索はもういらない?ーFarfetch画像検索機能導入の意図とは
ニュースサマリ
2018年12月7日ハイブランドファッションを多く取り扱うECサイトのFarfetchは、イスラエルのAI画像認識のスタートアップSyteと組み、新たに画像検索機能を取り入れた。この機能によってFarfetchはよりユーザーの理解を深め、よりパーソナライズな購買体験を生み出すことや在庫管理に役立たせることができる。
Syte’s visual search technology Power’s Up Farfetch’s New ‘See it, Snap it, Shop it’ Feature
via FashNerd
話題のポイント
2018年の画像検索に関するレポートによると、1ヶ月あたり約10億回の画像検索が行われており、特にPinterestでは月間の画像検索数は2017年2月〜2018年2月の1年間で約2.5倍(6億回)に上昇しました。
現在小売業を中心に画像検索を取り入れる企業は増えていますが、画像検索によってユーザーにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
画像検索に力を入れる意図は「検索の面倒さの低減」でしょう。
特に文字による検索の面倒さを感じる人が多いのではないでしょうか。
例えば、目の前の友達が履いている靴が素敵で「私も欲しい!」となったシチュエーションを想定します。
文字検索では、
友達に靴のブランドを聞く
↓
アプリを起動
↓
文字を入力
↓
検索結果からデザインが同じものを探し出す
という4ステップ必要です。
デザインを絞り込むために、検索時に文を複数入力することも考えられるので、より多くステップが必要でしょう。
一方画像検索では、
アプリを起動
↓
カメラを向ける
の2ステップで終わり、非常にスマートです。
その他にも実店舗の服をネット上で比較検討したり、Youtuberやinstagammerなどのインフルエンサーが着ているものに近い服を探すことも容易になります。
この様に画像検索はオフラインとオンラインの体験をスムーズに繋げることができます。
もちろん画像検索で的外れな結果が返ってきたらユーザーを失望させてしまいますが、Syteの高い技術力をもってすれば、ユーザーは画像検索のヘビーユーザーになる可能性が高いと言えます。
そういう意味では今後、文字検索は廃れてゆき、音声検索と画像検索が流行するでしょう。
そして次は検索すら必要ない、非常に高精度なレコメンドが出てくるかもしれません。
実際Farfetchではコンピュータビジョン担当チームがレコメンドの機能強化に努めています。Farfetchで検索すると、正確な検索結果を表示させるだけでなく、画像のコンテクストを元にマッチするアイテムを表示してくれるので、スタイルブックとして利用することも可能です。
同様の取り組みはPinterestも行なっており、昨年にこのフィードの提供を開始して以来、Pinterestのリテーラーに対するCTRは40%増加しました。
「真に優れた製品であれば営業活動は必要ない。」などと言いますが、今後は「真に優れたレコメンドであれば検索とお気に入り機能は必要ない」という時代が到来するかもしれません。その際に企業はレコメンドに必要なデータを今の段階から収集していくことが重要になるのではないでしょうか。