DAU約2億人のWeChat、なぜファッション企業が次々と参入していくのか
「WeChat」という言葉を街中で一度は聞いたことがあるのではないだろうか?WeChatはTencent(テンセント)が運営する中国最大のSNSプラットフォーム。LINEとFacebookをかけあわせたようなSNSで、商品の購入から、電気や水道などの公共サービスの支払いに至るまであらゆるシーンで利用されている。
その中で、WeChatアプリ上で提供される小規模のアプリ、通称ミニプログラムは2017年にリリースされて以来驚異的な成長を遂げている。2018年には総額8億3,000万ドルの資金が集められ、DAUは約2億3,000万人(2019年のInstagramのDAUの約半分)に達した。
そんなWeChatのミニプログラムは、様々なアパレルブランドが注目している。その中でも特に、ミニプログラムをうまく活用しているファッションブランドを3つを紹介する。
Longchamp-パーソナライゼーション
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Longchamp(ロンシャン)のミニプログラムではユーザーはパーソナライズされたサービスを受けることができる。カバンの色や装飾をカスタマイズでき、自分でカスタマイズしたカバンは直接WeChat内で買うことや、友達にシェアすることが可能だ。
今まで、Longchampを始めとした高級ブランドはオンライン上では実店舗並みの丁寧なサービスを提供できないという悩みがあった。しかしミニプログラムを活用するとユーザーにパーソナライズされたサービスを提供することができたという。
似たようなサービスを行ったYSL(イヴ・サンローラン)でも、パーソナライズされたサービスによってWeChat内の広告のクリック率が約2.8倍になり、ユーザーのコメントも約8倍に増えたという結果がでている。
gogoboi-KOLの販売
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中華圏の市場では、特定の専門領域を持ったインフルエンサーをKOL(キーオピニオンリーダー)といい、ユーザーの購買決定に多大な影響を与えている。
WeChatのミニプログラムにはKOLが開設しているものもあり、KOLが商品を取り上げると売上が65%あがるという結果もでた。
例えばgogoboiというKOLは、WeChat内の様々なショップを組み合わせて商品をレコメンドするミニプログラムを開設。Weiboのフォロワー数は700万人を超え、WeChatの投稿数も平均10万PVを超えた。アパレルブランドはKOLのミニプログラムを活用することで、他のブランドも沢山あるECサイトと違い、ユーザーを囲い込めるというメリットがある。
YSLメンバーズクラブ-UGC(ユーザー生成コンテンツ)
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YSL(イヴ・サンローラン)のミニプログラムでは、ユーザー自身がコンテンツを生成するような仕掛けになっている。YSLの商品を使ったセルフィーの写真をソーシャルメディアにあげると、見返りに割引として使えるポイントをもらうことができる。
ブランドは信頼感のあるコンテンツをユーザー自身に生成してもらえる他、YSLの商品を買い続けてくれるコミュニティをつくることができる。
クローズドなWeChatの強み
WeChatのミニプログラムは、どうしてここまでアパレルブランドに人気なのだろうか。
1つの理由としてはミニプログラムでは第三者としてしか関われない天猫(Tmall)や京東商城(JD.com)などのECサイトと違って、キャンペーンのデザインをできるなど権限の範囲が広いからだろう。
ミニプログラムでは、ユーザーはキャンペーンを受け商品を閲覧したり、カスタマー担当者とチャットをして、WeChat Payでそのまま商品を購入することもできる。WeChatでは購入することが目的のECと違って、ブランドの様々な情報が得られる。
またWeChatがクローズドなサービスであることも1つの理由だろう。
調査によるとWeChatのミニプログラムにアクセスするには60種類の方法があるが、35%のユーザーが友人からWeChat内で共有された時にアクセスするそうだ。そのためWeChatではソーシャル要素も強くなり、実際に今年「Good Product Circle」という友人に商品をレコメンドしたり、友人のインターフェイス上で交流したりできる機能をいれ、ソーシャル要素を強くした。
この機能はインフルエンサーマーケティングに疲れ始めたユーザーを反映していると言われているが、それは中国だけでなく日本や世界全体でも同じことだろう。
Instagramも親しい友達リストをつくるなどクローズドなコミュニティづくりの必要性が高まっている中、それを既に実現し始めているWeChatと、WeChatをうまく活用しているファッションブランドの動きは今後も注目していきたい。
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