AIでオーダーメイドドレスを制作する「COUTURME」、毎週売上が15%UPする理由とは
AIでオーダーメイドドレスを製作する「COUTURME」が、Y Combinator 2019W(ワイコンビネーター2019冬)に選ばれ注目を集めている。
Y Combinatorは、過去にAirbnb(エアービーアンドビー)やDropbox(ドロップボックス)などを支援してきたアクセラレーターだ。
今回は、COUTURMEが注目を集める理由やその影響について紹介する。
COUTURMEとは
COUTURMEはアメリカ、カリフォルニアにあるスタートアップ企業。AIやCADを使ってオーダーメイドドレスを作るサービスを提供している。
オーダーメイドドレスの作り方は簡単だ。
まず、ユーザーは好みのデザインや色についての簡単なオンラインアンケートに答える。アンケートを元にCOUTURMEがネックラインや袖の長さ、スカートの長さなどデザインが異なるドレスを数種類提案。そこからユーザーは好きなものを選び、購入できる。そして、3D技術を使って測定されたサイズのパターンが工場に送られ、ユーザーは30日以内に商品を受け取れるのだ。
COUTURMEが従来のオーダーメイドブランドと違うのは、ドレス製作時に3つのテクノロジーを採用している点だ。
1つが、Smart online fashion designer。ユーザーが答えたアンケートを基に、AIがドレスのデザインを生成する。
Image Credit : COUTURME
2つ目が、3D automation CAD。CADを利用してカスタムしたデザインを瞬時にパターンに起こし、縫製仕様書を作成する。
Image Credit : COUTURME
3つ目が、Photos for perfect fit。ユーザーに前と横から写真を撮ってもらうことで、ユーザーの3Dモデルを生成。サイズをあわせるために正確な測定値を取得する。
Image Credit : COUTURME
テクノロジーを利用し自動化することでデザインや測定にかかる時間を大幅に短縮。通常出荷まで数ヶ月かかるオーダーメイドドレスが30日以内でユーザーの家まで届けられる。
COUTURMEが注目される理由について
Y Combinator 2019Wに選ばれ発売して以来、毎週約15%売上が増加しているCOUTURME。注目される理由は、業界が抱える課題を解決している点にある。
アメリカ人女性の約7,400万人は標準サイズに適合していないと言われており、ブランド側は返品の多さや過剰生産などの問題を生んでいる。しかし、COUTURMEには3200万ものオプションがあり、購入者に完璧にフィットするドレスを提供することで問題を解決できるのだ。
また、COUTURMEはコストを最小限に抑えられる。
通常、オーダーメイドの洋服を作成するには設計と製品開発に膨大なコストがかかり、購入費用の高さを理由にオーダーメイドを諦める人も多い。しかしCOUTURMEでは、テクノロジー技術を使い自動化することでドレスは199ドル(日本円で約21,000円)〜、イブニングドレスは220ドル(日本円で約24,000円)〜、ウェディングドレスは699ドル(日本円で約76,000円)〜購入可能だ。自分のサイズと好み、予算に合ったドレスを手に入れられる。
更にCOUTURMEは、ファッション業界が引き起こしている大気汚染にも解決策を示している。
ファッション業界では、大量生産により衣類製作時に廃棄される膨大な量の残布や、売れ残った在庫、返品在庫の廃棄によって大気汚染が生じている。例えば、Burberryでは、昨年3,700万ドル(日本円で約41億円)相当の売れ残った服やアクセサリーを焼却した。
この問題に対し、COUTURMEはテクノロジーを利用し、ユーザーのサイズと好みにフィットした商品を提供することで無駄な廃棄物を排出しないようにしている。
AIを取り入れることで、オーダーメイドにかかる膨大なコストを抑え、時間短縮や環境問題に解決策を示しているCOUTURME。
オーダーメイドだけでなく、今後このような問題を抱えるファッション業界では、AIが必要不可欠な存在となっていくだろう。
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