モデルやデザイナーがYouTuberに。ファッション業界がYouTubeでZ世代の心をつかむ
昨今、YouTubeとファッションの関係がより密接なものになってきている。
今まであまり、プライベートを公開してこなかったファッションモデルやデザイナーが、日常やファッションに関する動画をYouTubeに投稿することが流行している。
また、YouTube側も、2019年9月にファッションや美容関連の動画をキュレーションしたファッションチャンネル「YouTube.com/Fashion」を開設。ファッションショーのライブストリームや、Dior、Louis Vuitton、HERMESのようなラグジュアリーブランドとデザイナーのコラボ動画などを配信している。
Image Credit : YouTube
モデルやデザイナーの日常を公開
投稿しているのは、元祖スーパーモデルのNaomi Campbell(ナオミ・キャンベル)や、人気ブランドデザイナーのMarc Jacobs(マーク・ジェイコブス)など。Naomi Campbellは、オーガニックスーパーマーケットのWhole Foods Market(ホールフーズマーケット)で買い物する様子や、飛行機での過ごし方を公開。Marc Jacobsは、ネオンピンクカラーのウェアとバッグにオレンジのバケツハットを合わせたコーディネートでポルシェを運転する姿を公開した。
Image Credit : YouTube by Marc Jacobs
従来、有名なファッションモデルやファッションデザイナーは、ブランドの世界観やイメージを構築する存在であった。そのため日常の姿を公開することは殆どなかった。
ファッション業界の評論動画も
ファッションモデルやデザイナーの日常だけでなく、ファッション業界についての投稿も増えている。
Image Credit : YouTube by Haute Le Mode
中でも注目を集めるのがHaute Le ModeというYouTuberだ。
チャンネル登録数が26万人以上の人気YouTuberで、レッドカーペットのレビューやファッションショーのまとめ、ランウェイの歴史講座などを配信。
人気の理由として、業界人しか参加できず一般の人々が遠く感じているファッションショーやランウェイを、誰にでもわかりやすく解説していることが注目されている。また、マスコミや雑誌では伝えられない正直で批判的な意見や自由な表現も人気の理由の一つだ。
元々、ファッションは「文句も説明もしてはいけないもの」とされていたが、Haute Le Modeのようにファッションについて率直な意見とわかりやすい説明を伝えることは、YouTubeならではの魅力的な表現方法なのかもしれない。
YouTuberがファッションインフルエンサーに
他にも、人気YouTuberがモデルとして起用されたり、ファッションショーのゲストとして呼ばれたりすることも増えた。
人気YouTuber、James Charles(ジェームス・チャールズ)が世界的デザイナーAlexander Wang(アレキサンダーワン)とメット・ガラに参加や、emma chamberlain(エマチェンバレン)がLouis Vuittonのショーの最前列に招待されるなどYouTuberがフォッションイベントに参加するケースが増えてきている。
Louis Vuittonの公式アカウントで配信されているファッションショーの視聴回数は約14万回。一方、人気YouTuberのemma chamberlainが同じショーを見た映像は1000万回以上再生されている。
この数字をみると、YouTuberが動画を視聴する若い世代により影響を与えていることがわかるだろう。
Image Credit : YouTube by emma chamberlain
いずれ顧客になるかもしれない若い世代。そうした世代に向けて、モデルやデザイナーがブランドの世界観の表現ではなく、あくまで日常の素の様子を見せていくことは、今後の新しいブランディング方法として定着していくのかもしれない。
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