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【特集】今こそ考えたい、ファッションのこと、ファッションとテクノロジーのこと

今、わたしたちの生活は、突然の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって大きな変化を強いられています。そして、その影響はファッション業界も例外ではありません。

わたしたちは裸では生きてはいけないけれど、おしゃれを楽しむという意味での服は必需品ではなく贅沢品。外出ができない現在、素敵な服を着て街に出ることはできない。けれど、たとえ家に留まっていても、服は時に鬱屈した気持ちを晴らしてもくれるでしょう。在宅ワークでどんな装いをするか悩んだり、部屋着について考え直したり、新しいファッションとの付き合い方が生まれつつあります。

ファッション業界全体のことを考えると、実店舗は休業を余儀なくされ、その分、EC上で様々な取り組みが行われています。ファッションショーの中止や展示会の自粛は、従来のファッション業界のサイクルや発信方法を急速かつ強制的に変化させつつあります。

現在、わたしたちにとっての「ファッション」、その価値や意味が大きく代わり、その在り方が問われています。そのなかで、バーチャル技術やECプラットフォームの活用は重要な役割を果たし、ファッションテックという領域の位置づけも変わりつつある。そしてまた、こういった変化はこの社会情勢下での一時的なものではなく、これまでのファッション業界の伝統や文化を劇的に変化させ、新たな地勢図を描こうとしているのではないでしょうか。

今は「ファッション」のことなんて、考えるタイミングではないかもしれない。一方で、ささやかな日常で「ファッション」について改めて考えられるかもしれない。ファッションという産業を繋いでいくために、試行錯誤している人たちも存在している。ZOZO FashionTechNewsでは、今だからこそ「ファッション」をどう考えるか、ファッションとテクノロジーの領域で何が起きようとしていて、それをどう考えているのかといった発信していきたいと思います。

この特集では、国内外の関連ニュースのまとめに加え、ファッション業界内外で多様な活動をされている皆さまから寄稿して頂くショートコラムを配信していきます。様々な人たちと、様々な角度から、これからのファッションのこと、ファッションとテクノロジーのことを考える試みをしていきたいと思います。

ファッション業界、ファッションテック領域の現在

4/8、ファッションビジネス誌「The Business of Fashion(BOF)」は、新型コロナウイルス状況下におけるファッション業界の現状と予測のレポートを発表した。

これによるとアパレル、ファッション、ラグジュアリー部門の平均時価総額は2020年1月の開始〜3月24日までに40%下落。これは株式市場全体よりも急激な下落だった。世界のファッション業界の収益は、2020年に前年比27〜30%の下落が予想されている。なかでも高級ファッション、ジュエリー、アクセサリー業界においては、2020年収益は35〜39%減少が見込まれている。マッキンゼーの分析によると、もしこのまま2ヶ月店舗が閉鎖された場合、ヨーロッパと北米で上場しているファッション企業の80%が財政難に陥ってしまう。

このような現状においてさらに注目が集まっているのが、ファッションECによる購買である。ECでさえも現状では、ヨーロッパ全体では5~20%、アメリカでは30~40%、中国では15~25%売り上げが減少している。では、日本国内ではどうだろうか?

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Image Credit:株式会社Virtusize

株式会社Virtusizeが発表した調査レポート: ファッションECにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響では、日本国内のファッションECにおいては以下のような現状があるという。

① ファッションECの売り上げは堅調であり、前年に比べて増加している
② 購買は週末により一層集中している
③ ピーク時間は、従来の21時に比べて早い19時にシフトしている

3月下旬までの調査結果ではあるが、このように日本のファッションECは好調なようだ。新型コロナウィルスの流行がなければさらなる成長が見込めた可能性も指摘されており、当然ながら影響は皆無とは言えないが、今後ECやソーシャルコマースでの展開が重要な命綱となるのは確かだ。

一方で、この状況が長期化するのも現実的となってきたなかで、さらに消費傾向が変化していくことも考えられる。そしてそれは、ポストコロナ、ウィズコロナの世界線にも影響を与えるものであるだろう。今、「ファッション」に何が起きているのか、これから特集としてレポートしていく。


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