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カスタマイズの服を一週間で。ムダを無くすロンドンのファッションテック「Unmade」とは

アメリカの老舗百貨店Barneys New York(バーニーズニューヨーク)をはじめとして、破産申請するアパレル企業が増えている。
これは在庫を抱え、商品をただ売るという従来の方法が適切ではないということを示しているのかもしれない。一方で、現在注目を集めているのがオンデマンド生産というテクノロジーだ。

2019年7月に475万ポンド(日本円で約6.1億円)を資金調達したロンドンの「Unmade(アンメイド)」は、ブランドの製造工程と連携し、ユーザーが好みに合わせて特定の服のデザインを微調整できるプラットフォームを提供している。

ユーザーはファッションブランドのウェブサイトでオプションから模様や襟の色などを変えたり、自分で操作することで服の模様を微調整したりできる。
こうしてできたオーダーメイドの注文はUnmadeの独自の工場発注管理システムによって、工場に直接送信される。ブランドや製造業者が手動入力をすることなく自動的にオーダーメイドのファイルを作成できるのだ。

Image Credit : YouTube by Unmade

2019年3月にはサイクリングウェアのRapha Racing(ラファ レーシング)と協同し、顧客がサイクリングウェアを自由にカスタマイズできるサービスを開始。
またUnmadeは、以前にFarfetch(ファーフェッチ)、Christopher Raebur(クリストファー・レイバーン)などともコラボしている。

大量生産、大量廃棄からオンデマンド生産へ

現在アパレル業界は大量生産、大量廃棄の問題に直面している。
循環型社会を推進するイギリスのエレン・マッカーサー財団によると、15年間でアパレル業界の生産量は倍増したものの捨てるまでに洋服を着る回数は40%減少。廃棄された洋服の73%がリサイクルされずに焼却か埋めたて地で処分されているという。業界の損失は毎年5,000億ドル(日本円で約53兆円)に及ぶ。

2018年にはH&Mは4200億円相当の売れ残りを経験し、Burberry(バーバリー)はブランドを保護するために42億円相当の売れ残り商品を焼却したことを認めている。

これらの大量生産の裏には、従来のファッションブランドが服を企画、生産、販売するまでに約1年かかるという現状がある。6〜12ヶ月前に消費者の需要を予測し、どのデザイン、色、サイズがどれくらいの量売れるかを予測したところで予測があたる確率はそう高くないだろう。また過小生産で売上の機会を逃すよりも過剰生産した方が良いと考えているブランドや店舗も多いのも現状だ。

一方、Unmadeはオンデマンド生産のサプライチェーンを構築しているため、一週間未満でカスタマイズされた商品を生産できるという。そうすることで、ブランドや店舗側も適切なタイミングで適切な量の適切な商品を生産、販売できる。ムダな在庫を抱える心配はないのだ。

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Image Credit : Unmade

独自性とカスタマイズが重要に

更にUnmadeは消費者にとっても新しいショッピング体験を提供できるだろう。

現在ファッションの流行の立役者は変化しており、消費者が流行を作り出す存在となっている。またInstagramやYouTubeの台頭によって独自性とカスタマイズはこれまで以上に重要な価値観となっていくだろう。

Unmadeは個々の注文を大量生産と同じコストと速度で実現できるため、驚いたことにブランドの全体的な利益を増加させることもできるという。在庫コストを減らしながら今求められているカスタマイズされた商品を生産し、高い利益を得て、セールや焼却処分を避けられるのだ。

大量廃棄の視点からも今変化が求められているファッション業界。
過剰生産を減らすためには、Unmadeのようなテクノロジーを活用し、利益と環境を守りながらも、ユーザーにより魅力的なブランド体験を提供できることが重要になってくるだろう。


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