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ファッションウィークで魅せたテクノロジー、イッセイミヤケやグッチの仕掛けとは

2019年9月、世界4都市でファッションウィークが開催された。場所は世界4大コレクションと称されるパリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドン。

この4大コレクションは、世界の高級ブランドが斬新な新作を発表する場として注目されている。今回は、その中でもテクノロジーをうまく活用してコレクションを発表したブランドを紹介する。

ISSEY MIYAKEのドローンドレス

ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)はパリコレにてドローンを活用した。

下着姿のモデルがランウェイを歩きはじめると、ドレスをぶら下げたドローンがモデルを追って登場。ドローンはモデルの頭上からゆっくりと下降することで、シームレスにモデルへとドレスを着せた。

今回のパリコレクションはISSEY MIYAKEの新デザイナー、近藤悟史のデビュー作。FashionNetwork.comの取材に対し近藤は、以下のように語っている

「I wanted to express joy through fashion. So I mixed different emotions – happiness, pleasure, a modern sensibility – combining different materials, Japanese tradition and innovative techniques(ファッションを通して喜びを表現したかった。そのために日本の伝統、革新的なテクノロジーなどを組み合わせて、幸せや喜び、現代の感覚など様々な感情を混合させました。)」

rag & bone × Microsoft

ニューヨークファッションウィークでは、rag & bone(ラグ&ボーンがMicrosoftの技術を活用し、コレクションを発表した。

Image Credit : YouTube by rag & bone films

ランウェイが始まると、Microsoftの巨大ロボットアームがステージのセンターに登場。モデルやパフォーマーを360度全方位から撮影し、その映像をリアルタイムで劇場内のスクリーンに映し出した。

今回はセンサーやトラッキング機能を含む最先端のAzure Kinect DKを活用。今まででは想像のつかなかった角度や目線でモデルや服を捉えることに成功し、立体的に服を伝えられた。

rag & boneは今回が3年ぶりのランウェイ。2019年秋冬コレクションでは、ランウェイの代わりに「A Last Supper」というディナーを開催し、ゲストの姿をAIが撮影、編集動画をその場で上映している。

Image Credit : YouTube by rag & bone films

GUCCIのカーボンニュートラルファッションショー

GUCCIは今シーズンのミラノファッションウィークで初のカーボンニュートラルなショーを開催した。
カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにすること。狭義では、環境に優しい活動などを通して生産にかかった分の温室効果ガスの排出量を相殺することを示す。

今回GUCCIは、環境に優しいショーを目指し、建設材料や招待状にリサイクルされた木材を使用。モデルや従業員を含む1,000人のゲストと900人の関係者の移動によって排出された温室効果ガスに対しては、環境に優しい活動をしている企業に寄付することで埋め合わされた。

また今年9月にはGUCCIやBALENCIAGA、SAINT LAURENTなどを擁するKERING(ケリング)が自社及び全サプライチェーンの温室効果ガスの排出量を2025年までに2015年から50%削減することを発表している。KERINGは2018年からグループ全体の年間温室効果ガス排出のオフセット(相殺)を最優先課題するほど、積極的にサステイナブルな施策に取り組んでいるのが印象的だ。


デザイナーによる最新のクリエイティビティが発表されることで注目のファッションウィーク。新しい表現の方法として、テクノロジーが使われるのは便利さの追求とは違った、また新しいファッションテックの可能性なのかもしれない。


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