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中国のZ世代がハマるRED、ヴィトンなど高級ブランドが注目する理由とは

Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)は2019年5月、中国のSNS型ECアプリ小紅書(別名RED)に公式アカウントを開設した。今話題のREDにアカウントを立ち上げた最初の高級ブランドとなった。その後もDior(ディオール)Loewe(ロエベ)などの高級ブランドがREDにアカウントを開設。どうして今Louis Vuittonなどの高級ブランドはREDに注目しているのだろうか。

高級ブランドが注目するREDとは

2013年に毛文超(マオ・ウェンチャオ)と、瞿芳(チィー・ファン)によって作られたRED はInstagramAmazonのようなEコマースが追加されたSNS型ECアプリだ。
ユーザーは写真や動画、口コミなどをアップして「いいね」やコメントを入れたり、他のユーザーと情報を共有したりできる。一見他のSNSと似ているが、異なる点は投稿にリンクを貼ることができ、そこから商品の購入ができることだろう。
REDは若い女性から人気を集め、2018年には1億人以上のユーザーを獲得、30億ドル(日本円で約3200億円)以上の価値がつけられている

Louis VuittonのREDのページ

Louis VuittonのREDのページは特徴的だ。
ブランディングや世界観を重要視している高級ブランドには珍しく、最初の投稿は製品の実用的な機能を紹介する動画であった。その投稿には消費者から「バックはいくらですか?」「どこで買えますか?」などといった質問が集まり、それぞれの質問にしっかりと答えているのが印象的だ。その後の投稿も、ユーザーから来た質問に答えるだけのものもあった。

また、アイドルの范丞丞(ファン・チョンチョン)などのKOL(キーオピニオンリーダー)を利用した施策も行っている。

Image Credit : Louis Vuitton

ブランディングを重要視する高級ブランドにとって、普段なら店頭で販売員に尋ねるような質問をREDでできる様にすることは衝撃的な施策だっただろう。しかし口コミやKOLが大きな影響力となっている中国市場ではこうした施策は功を成し、Louis Vuittonは2019年7月時点で約4万3千人のフォロワーを獲得した。

高級ブランドがREDに注目する理由とは

ではどうして今高級ブランドはREDに注目するのだろうか。それには3つの理由が考えられる。

1つ目は、REDは中国の若い高級品消費者の多くが利用しているということが言えるだろう。
中国の高級市場は2018年に前年比6%増加で1,110億ドル(日本円で約12兆円)に達し、2025年までに世界の高級品の消費の41%を占めると予想される。
その中でも、高級品消費者の48%が30歳未満で、上海や北京といった一流都市に住んでいる人が多いという。そうした消費者はオフラインよりもオンラインで高級商品を買うことを好み、口コミやKOLを重要視するそうだ。
一方REDのユーザー層も70%以上が25歳以下で、57%のユーザーが上海や北京といった一流都市に住んでいるという。
この様にREDのユーザーは世界の高級市場に多大なる影響を与える消費者となっており、高級ブランドとの相性が良いのだ。

2つ目は、REDが購買に特化したアプリということだろう。
上記でも述べた高級消費者はWeiboやWeChatも利用するようだが、これらはSNSやチャット機能がメインなため投稿に対するクリック率が必ずしも購買とは相関しない。しかしREDはInstagramの強烈なビジュアルレイアウトとAmazonの本格的なユーザーレビューを組み合わせたようなアプリであるため、ブランド側としては売上に直結するサービスとなっている。

3つ目の理由は消費者の投稿をみることで人気の商品が直感的にわかることだ。
例えばDiorと検索すれば化粧品の投稿が多いが、PRADAと検索するとカバンの投稿が多いなど様々な発見がある。

Image Credit : 小紅書

口コミを元に成長し続けているRED。世界的に中国の若年層の影響が大きくなっている中、彼女らの心を掴むREDは日本でも無視できない存在になってきているだろう。


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