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タオバオが新しいローエンドマーケットへ参入。その「C2M戦略」がすごい!

中国のECマーケットは100兆円を超え、価格競争がますます激化。日本における中国人観光客の爆買いイメージにより、富裕層の購買が注目されるが、実は13億人を誇る巨大なマーケットの中ではローエンドマーケット(低所得層の市場)が重要とされている。

中国国家統計局が発表した「中国2017年国民経済と社会発展統計公報」では、中国全国一人あたり年間平均可処分所得は25974元(約40万円)。平均値ではなく中央値に目を向けると、22408元(約34万円)。つまり中国半分の人口が年間可処分所得は34万円以下となる。ここに潜んでいるのが、大きなローエンドマーケットということになる。


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引用:https://www.sohu.com/a/244271402_679390

 ローエンドマーケットを狙い、コストパフォーマンスを企業戦略とした、中国版アップルと呼ばれる「シャオミー (中国名:小米)」が多大なる人気を博し、2019年日本に上陸するまでに成長。同じくローエンドマーケットを狙って、低価格で商品を売りにしているECサイト「ビンドゥオゥオ(中国名:拼多多)」もブレイクを起こし、わずか3年で米ナスダックに上場を果たす。一時の時価総額は400億ドル(約4.3兆円)を超えるほどで、これはイーベイの時価総額(240億ドル、約2.5兆円)を上回っている。

「ビンドゥオゥオ」はもともと地方に住む、スマホに慣れていない高齢者消費者を主要ターゲットにして展開。仕組みとしては、複数の購入者による共同購入により大量の注文をメーカーに依頼し、低価格を実現させた。しかし短期間でのヒットが仇となり、偽物の商品に対するクレームが多発し、収益面で苦戦。時価総額も一時的に200億ドル(約2.1兆日本円)まで急落。これをチャンスと捉え、今、まさに「タオバオ(中国名:淘宝網)」が、ローエンドマーケットで君臨している「ビンドゥオドゥオ」を巻き散らそうとしている。

「タオバオ特価」「スーパー工場化計画」「百億工場地域計画」、3つの柱からなるタオバオC2M戦略

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Image Credit : 淘宝網

2020年3月26日、タオバオは、ローエンドマーケットを狙った専門アプリ「タオバオ特価」、契約工場の生産向上を目的とした「スーパー工場計画」、デジタル化した工業地帯を作り出す目的の「百億工場地域計画」をリリースした。この3つが、今回タオバオが発表した“C2M戦略(Customer-to-Manufactory=顧客とメーカーを直接繋ぐ)”になる。

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Image Credit : 淘宝網

タオバオは、ここ一年を通して「タオバオ特価」の先行版サイトを運用し、市場反応を見つつ試行錯誤を繰り返していた。今までのECは買い手の顧客と売り手のショップをつなげるのが常識だったが、今回リリースされた「タオバオ特価」は買い手の顧客と売り手の工場と直接繋ぐことになる。その特徴は注文のニーズから逆算し、工場がニーズに沿ってモノを生産することにより、在庫管理や商品売り残しなどのコスト発生を抑止することができる。

「タオバオ特価」正式版がリリースされた当日は、アップルストアの無料ランキングのダウンロード者数1位に君臨。現在、リリースキャンペーンとして、わずか9.9元の商品でも送料込みで購入でき、これもユーザーを増やす大きなきっかけとなっている。

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Image Credit : 淘宝網

「スーパー工場計画」では今後3年間で1000か所の工場と契約し、各工場の価値産出を1億人民元超えるスーパー工場に成長させることである。スーパー工場は単に売上額が大きいだけではなくデジタル化することで、データを駆使し、一般の工場より更なる生産性を上げることができるのが特徴だ。

「百億工場地域計画」はその名の通り、中国全国国内で10か所の地域で100億元超えるデジタル化した工業地域を作り出すことを想定したものである。

さらに、タオバオによると工場の責任者のためビジネスチャットツール「钉钉(日本名:ディンディン)」のグループも開設した。こちらは、アリババグループが企業のために作ったビジネスチャットツールで、その役割は日本のビジネスチャットツールの「チャートワーク」と類似したもの。企業のコンサルティング業務にも力を入れており、すでに10のグループが満員。現在、11個目のグループに突入している。ちなみに、ひとつのグループが1000人なので、単純計算すれば11000人の工場責任者が支持している、ということになる。

今後、“ネットワーク効果(製品やサービスの利用者が増えるほど、その製品やサービスの価値が高まること)”が働けば、買い手と売り手がお互い呼び合うという好サイクルに突入するだろう。まさに、中国ローエンド市場における更なる競争の幕開けである。

デジタル化導入により、アパレル業界にもたらす変化

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Image Credit : 淘宝網

今回「タオバオ特価」の正式リリースにより、C2M戦略は新たな進撃を遂げる可能性が現れた。これまで在庫管理にかかったコストは大幅低減し、その分消費者に還元し、リーズナブル、かつ高性能な服を消費者に提供することができる。また「タオバオ特価」におけるクラウドデータを利用することで、変化が激しい消費者の顕在化したニーズをいち早くキャッチすることが可能になる。

C2M戦略の拡大により、アパレル業界におけるサプライチェーン(原材料調達・生産管理・物流・販売までを一つの連続したシステム)は大きく変化すると考えられる。

今後、中国のローエンド市場における企業間の価格競争は、タオパオの組織化、効率化により、さらなる激しさを増していくだろう。

参考:https://36kr.com/p/5305969
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1662278937853282474&wfr=spider&for=pc



文・ 叶 志強 編集・安田光絵


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