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メタバースと実空間両方でスニーカーヘッズの交流が生まれる?「AGLET」

「AGLET(アグレット)」は、デジタル上でスニーカーを所有できると言うスニーカヘッズの為のゲームアプリである。当ゲームは、メジャーなブランドの定番商品から、限定盤のスニーカーまで幅広く取り扱われており、実際に手にすることが困難なスニーカーもゲーム上で所持できる。さらに、Pokemon GOのように外出し、特定のスポットで新たなスニーカーを獲得することもできるというもの。今回、AGLETのCEOであるRyan Mullins(ライアン・ムリンズ)氏にインタビューを行った。

スニーカーファンのためのコミュニティ・ビルディングを目指して

ムリンズ氏を始めとするチームのメンバーが、ゲーム好きであり、その幅はNintendo Switch、Play Station、Oculus、PCゲーム、スマートフォンゲーム等と種類を問わない。さらに、ムリンズ氏は10代の頃からスニーカーヘッズであり、adidasのフューチャー・トレンドの部署でディレクターを務めたこともあるほど。現在自宅には400ペア以上のスニーカーを所持・保管しているという。これまでチームの誰もがゲームデザインやプログラミングを行った事がなく、今回が初。日々様々なゲームをプレーするうちにゲームデザインの世界に魅了されていくうちに、1から開発を行ってみたいと望むようになったそうだ。

開発にあたり、チームのメンバー各々が既存のゲームのリサーチを網羅的に進め、なぜプレーし続けたいと思うのか、なぜ中毒になるのか、といった点を中心に解剖。数々のゲームアプリが毎年公開されるも、ストーリーがフルパッケージ化された状態でのリリースは、一定の年月が経つと人々の関心が逸れてしまうという懸念から、継続的にプレーを続けて貰える仕様を考えたという。

ゲーム内容決定の後押しをしたのが、ムリンズ氏の周囲のコミュニティやミレニアム世代の購買行動が、さも「ゲームをプレーするように思えた」からだと言う。「例えば、スニーカーファンが欲しがるスニーカーには、限定品や数の限りといった制約があり、どうにか手に入れようと躍起になって、様々な手法を駆使しているように見て取れます。そのなかで生まれる新たなソーシャルネットワークが、ゲームの中で生まれる繋がりと似ているように思えたのです。」

そうして生まれたAGLETは、世界中に数多くいるスニーカーヘッズ同士をバーチャル空間だけではなく、現実空間と相互にインタラクション、コミュニティ構築を行っていくという、シンセティックリアリティーの可能性を見据えている。

スニーカーの製品特徴を捉えたゲーム仕様

基本的なゲームの内容は、各プレーヤーが端末設定で位置情報をオンにした上で、自分が好みのスニーカーを選び、1000歩単位での歩数に応じてゲーム内の通貨が付与されるというものだ。通貨が溜まると、ゲーム内で、NIKENEW BALANCEadidas(YEEZY)などのブランドの好みのスニーカーを購入でき、希少なスニーカーは課金のうえ入手できる。各アイテムには、ゲーム製作者からのメッセージとして、製品の詳細や歴史が綴られており、スニーカーファンの心をくすぐる。

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スニーカー入手の様子

ゲームの特徴として、実際のスニーカーを考慮したスニーカーの製品特性や製品寿命が描かれている事が挙げられる。まず、その時期にショップで購入可能な製品が取り扱われており、頻繁にスニーカーの顔ぶれが変わる。次に、TIER 0 から始まり、TIER 5まで6段階でランク付けされたスニーカーは、入手困難性を踏まえ、ランク付けを示す。例えば、初期段階で手に入るTIER 5のスニーカーは、CONVERSEのCHUCK TAYLORやadidasのSTAN SMITHであり、最上級ランクのTIER 0 は、adidasのFUTURECRAFTやYEEZY750 SIGNED ‘OG’などが含まれる。

さらに、一定の距離を歩き続けるとスニーカーが汚れ、洗浄や修理といった手入れが求められる。これには、ゲーム内で洗浄液の購入や、マップに設定された「Deadstock Station(デッドストック・ステーション)」で新品状態に戻す、もしくは「Repair Station(リペア・ステーション)」で部分的に修理を施すなどの手段を取る事ができる。一方で、修理の回数も細かくスニーカーごとに設定されており、永続的に同じスニーカーを着用し続けることはできない。

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左:歩数の閲覧 右:マップでステーションを探す様子

AGLETの考える未来

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金のラベルは課金が必要となるモデル

外出し、歩数を稼ぐことが基本的なゲームの設定であるがゆえ、ロックダウンの状況下でのリリースは難しかったのではないか、と伺うと、「開発が初めてと言うこともあり、最小限の規模でのテストが行えたと思っています。リリース直後には、色々なネガテイブな批判や、うまく機能しないといった問題が見受けられました。しかし、そういった批判やコメントを残してくれるユーザーに対して一人一人密にコミュニケーションを取りながらアップデートを繰り返した結果、当初想定していたよりも初期段階から規模が大きくなり、現在では約40ヵ国からアクセスがあります」と返ってきた。

そして、この試みは今後も継続していきたいと考えているといい、アプリやウェブサイトからの問合せのみならず、Discord等を通じたユーザーとのコミュニケーション手段を複数確保する体制を敷いているそうだ。このようなユーザーとのコミュニケーションの所在は、今後、さらなる追加機能を試行する際にも大いに助けになりうるだろう。

AGLETが思い描く現実空間とデジタル空間の融合

初期はあくまでベーシックなアプリとしてリリースされているAGLETだが、今後搭載予定の機能やそのビジョンはとても興味をそそられる。

「いちスニーカーヘッドとして、次世代にどのようなデザインやデザイナーが出現してくるのか、とても楽しみにしています。ジャスティン・ビーバーがまだ無名時代にYouTubeにビデオをアップし、それをスクーター・ブラウンが見て、プロデュース、現実空間のスターとしたように、次世代のスニーカーブランドやデザイナーは、バーチャル空間に出現するでしょう。そこでAGLETがプラットフォームとして機能することで、次世代のデザイナーを、ユーザーが支援していく仕組みを造りたいと思っています。」

今後、AGLET上でユーザーがポップアップストアを展開できる仕組みづくりや、各々が好みのデザインを施せる機能の搭載を検討しているそうだ。現在Instagramなどを通じて、個人が自分のデッサンやデザインを簡単に公開できるようになっているが、将来的にAGLET上では個人がデザインから販促まで行えるように、体制を整えている最中だと言う。

さらに、マップ機能で現在配置されている「Deadstock Station(デッドストック・ステーション)」や、「Repair Station(リペア・ステーション)」は、今度より一層現実空間とデジタル空間の導線をなめらかにする存在となりうるとムリンズ氏は言う。「マップのステーションは、スニーカーブランドが今後、店舗の場所選定基準の物差しとして使用できうると考えています。デジタル上でスニーカーを所有しつつも、スニーカーヘッド同士のコミュニティを構築しやすくなるように、実店舗の配置を考慮することで、スニーカーの持つストリートの文化の側面とブランドが親密に繋がりうるのではないでしょうか。」

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Holy Grail(ホーリー・グレイル)と呼称されるレアなスニーカー
(購入時期によってラインアップは変更される)

「近年では拡張現実のためのインターフェースや、技術革新がとても最速に行われています。AGLETはそのような技術がもたらす可能性と、ストリートのスニーカーカルチャーの文化側面を繋げていこうと考えています。いってみれば、それはメタバースを想定した、まったく新しい現実への一歩とも言い換えられるでしょう。」

インタビュー終盤、日本のアニメカルチャーが話題に上がった。なかでも、ムリンズ氏は「攻殻機動隊」から大きく影響を受けたといい、攻殻機動隊を始めとするアニメの存在が彼の今後ビジョンや思考を構築する上でリファレンスとなったと言う背景もまた興味深い。今後、想定されうる技術革新を捉えた上で、試作を繰り返すAGLETのこれからの試みに注目していきたい。

AGLET
アプリ / Instagram / Discord

text by Hanako Hirata

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