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日本発ブランド「KoH T」による3DファッションショーとなったHelsinki Fashion Weekへの挑戦(後編)

新型コロナウイルスによって大打撃を受けているファッション業界。目下の課題の1つがファッションショーの開催だ。従来のリアルなファッションショーの中止はもちろん、発表サイクルやシーズン概念そのものが見直される中で、新しいファッションショーの形を模索する動きもある。

その試みのひとつが、7月20日から始まったHelsinki Fashion Week(以下HFW)。厳格なサステナビリティへの要件を満たすブランドだけが選出されるHFWは、今年は初めて3Dデジタルファッションショーとして開催された。そしてそこに選出されたブランドのひとつが、日本発のファッションブランドKoH Tだ。初の3Dファッションショーという試みに対し、ブランドとしてどのように挑み、何を感じたのだろうか?今回はKoH T・デザイナーの糀泰佑さんとデザインパートナー/PRの小澤由美子さんにお話を伺った。

KoH T
公式サイト / Instagram

ブランド運営、創作の両面で広がる可能性

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ーーデジタルでのコレクション制作のどういった部分に可能性に感じましたか?

デザイナーと3Dデザイナーたちが1週間かけてトークセッションを行う「デザイナーレジデンシー」でもお話ししましたが、ファッション産業以外とのコラボレーションが進み、デザイナーやアーティスト、3Dデジタルメディア業界、ビデオゲーム、3Dモデルエージェントなどとパートナーシップを結び、新たな産業構造や職業が生まれると思っています。

またシーズンに垣根がなくなる。最新シーズンだけでなく、アーカイブも買えて、バーチャル空間では冬でも、リアルは夏かもしれない。バーチャル空間では季節は関係なく好きなものを着ることができる。またサブスクリプションでバーチャルの服を購入でき、配送も必要なくなる。デジタルの服を仕入れ、作成し、流通させるリテイラーが出現するかもしれません。

ーーこういった3Dファッションショーが継続して広まっていくことで、ブランド運営やデザイナーの創作に影響を与える部分はありそうでしょうか?

考えられることは、デザイナー視点で言うとまずはサンプル生産工程に無駄がなくなり、製作段階で物理的に製作しないので、プロモーションの効率がいいということ。つまり、通常の工程だとサンプルを作ってからプレゼンテーションとなりますが、3Dではプレゼンテーションしてから生産するというプロセスに変えることができます。あらかじめ顧客やバイヤーに見せる事で、フィジカルなショーや展示会よりも効率的です。お客様にとっても、いつどこにいても見られるのは利点ですし、場合によっては細部まで拡大でき、色んな角度から見れるシステムが実現できれば、さらに画期的だと思います。

また創作の面では、サイバースペースには制限がないので、クリエイティビティーを存分に発揮できることも利点かと思います。クリエイターにとっては1からオリジナルのものを作れるため、やりがいはあります。それをどうリアルに作っていくか、リアルなものがサイバーを超えていけるかが挑戦となります。

価値観のアップデートに伴って

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ーー顧客の方々や周囲からは、どのような反響がありましたか?

ありがたいことに日本メディア18社でシェアしていただきました。海外メディアの方からは直接Instagramを通してメッセージを頂いたり情報をシェアして頂いたりしました。今回は、北欧フィンランドのサステナブル最先端企業であるSpinnova Fibreとコラボレーションを行い、貴重な開発中の生地で完全サステナブルなプロトタイプを製作しましたが、特にサスティナビリティの行動については、海外の方からの反応が多いです。こういった私たちの取り組みに対して賛同してくださる声も多く、日本における社会的/環境的問題に対する消費者の意識や市民の意識に関する質問も飛び交い、関心度の高さを感じています。

やはり消費者まで情報を届ける為には、ブランドからのサステナブルに関する透明性のある発信は必要だと改めて感じました。3Dデジタルという概念化が進むことにより、ファッション業界の構造変化が行われることを認識したうえで、サステナビリティに関する私たちの発信や行動に賞賛してくださる方も増えてきました。

ーー3Dでの制作もやはり、サステナビリティへの想いに基づいているのですね。

私たちは、ライフサイクルアセスメントという視点で考える重要性を掲げています。ライフサイクルアセスメントというのは、材料を仕入れ、製品が作られ、使われ、その後捨てられたり再利用されたりするまでのすべての段階で環境にどんな影響を与えたのかを自己評価するものです。3Dデジタルファッションの取り組みが普及すれば、確実にファッション業界や消費者の意識に変化が出てくると感じています。

ーー今後もこのような取り組みを継続していきたいとお考えでしょうか?

KoH Tはさらに今回から新しく行う取り組みとして、ブロックチェーン技術を応用したオンラインストアでの3D製品の販売にも取り組んでいます。また、デジタル空間でのお客様とのコミュニケーションや、そこでの特別な体験を提供するサービスも予定されています。

私たちは今後も、グローバルな次世代のショッピング体験やファッションの表現/提供に関しても、積極的に実践していきます。

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3Dファッションショーという言葉から、無機質な、機械的なものを連想したかもしれない。しかし、その制作も3Dデザイナー、デザイナー、パタンナーと人々が濃密なコミュニケーションを取りながら協同して作り上げるものであり、そこには人の温度があるというのが印象的であった。

またKoH Tの3D制作への取り組みは、ファッションの生産構造やサイクルへの問題意識、サステナビリティに積極的に取り組む姿勢に基づいており、それゆえに制作から販売まで一貫したアプローチとして、さらに発展していくことが期待される。最先端な技術を創作に織り交ぜながら、ファッションの未来を見据えるKoH T。その挑戦は今後も、世界的な注目を集めていくだろう。

<デザイナーレジデンシー・トークセッション>

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