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日本のテクノロジーが可能にした、人工宝石「モアサナイト」の製造方法

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① 人工モアサナイト市場の隆盛

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モアサナイトは1893年に隕石から発見された天然素材だ。ダイヤモンドの2.5倍ともいわれる世界最高峰の輝きと高い耐久性を持ち、ダイヤモンドと非常に類似点が多く、衝撃への強さ(靭性)、曇りにくさ(低親油性)などにおいてはより優れた性質を持っていることに特徴がある。

天然モアサナイトは希少性が高く、市場には出回らなかったが、米国企業が製造に成功し、1998年に人工モアサナイトの販売が開始された。この際に取得した製造特許が2015年に米国で有効期限を迎え、以降世界各国で有効期限を迎えたことから、現在では米国や中国など各国で質の高い人工モアサナイトの製造が行われているようだ。

小原さんによると、倫理的な問題、特にダイヤモンドをはじめとした天然の希少な宝石により引き起こされる紛争資金問題や強制労働といったから解放されている点は、モアサナイトの大きな魅力であるとのことだ。

② 半導体デバイスで使用された結晶を人工宝石へ

今回の特許手法では、もともと半導体デバイスなどで使用される炭化ケイ素の結晶を加工することで人工モアサナイトを製造する。半導体デバイス用の炭化ケイ素の単結晶は通常琥珀色をしているため、そのまま宝石として利用するには不向きなのだという。

そこでこの単結晶に電子線を照射することで、不純物の影響による光吸収をなくし結晶の無色化するというのが今回の特許の手法ということだ。

③ 新しい宝石の選択肢へ

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今回の研究成果により半導体として使えない炭化ケイ素結晶など本来廃棄品となる素材も宝石に再利用することが可能になると、製造エネルギーや製造時間の低減、廃棄物の削減など、より一層のSDGsへの貢献が期待できるというのが木本教授の見解だ。

今回の製造によってモアサナイトがより日本で広まり、消費者の価値観が変わることによって海外市場と同じように「選択肢の一つ」として広まることを期待しているとのことだ。

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