【編集部通信】特集001「生命の循環:装いの歴史と未来」のご紹介
こんにちは、Fashion Tech News編集部の藤嶋です。今年の4月から新設Webサイトに配信先を移したFashion Tech Newsですが、このnoteではオススメ記事や注目のトピックの紹介などを配信していきたいと思います。
ゲスト監修者と作る特集企画
そんな編集部通信の第1回としてご紹介するのが、新たにスタートした特集企画です。リニューアルしたFashion Tech Newsでは、これからファッションやファッションテックの未来について考えるうえで重要なトピックや問いについて深く考えていくために、ゲスト監修者と共に作り上げる特集企画というものをスタートしました。
記念すべき第1回では、writtenafterwardsのデザイナーである山縣良和氏をゲスト監修者にお招きして、ファッションと生命という大きなテーマを軸に、ファッションとテクノロジーの歴史を振り返りながら、未来について考えていく「生命の循環:装いの歴史と未来」という企画を配信しました。
「テクノロジー」という言葉からは、すごく最先端な技術やSFのような世界観を想起する人も多いのではないでしょうか。でも、ファッションの歴史を振り返ると、ファッションは常にテクノロジーの進化と共にありました。糸を紡ぎ、布を織り上げ、それを針と糸で衣服の形にし、古くなったら繕うこともまた、テクノロジー(=技術)のひとつの形。
ちょうど、writtenafterwardsは3月16日(火) 国立新美術館にて、「合掌」と題された新作を発表し、そこでは動物性と植物性の繊維、菌による分解といった循環をインスタレーションが展開されました。自然との共創というのもまた、現代のテクノロジーをめぐる思想において重要となってきています。
ファッションにおけるテクノロジーというと、どうしても現代では過剰生産や大量廃棄などの課題とも根深い関係にあります。先端テクノロジーもまた、伝統的な生命循環の枠組みから学び、持続可能な新たなテクノロジーの在り方を模索する段階にあるかもしれません。
特集001の見どころ
そんな想いから企画された本特集、まずはぜひ、監修者である山縣さんのインタビューを読んでみてください。
この企画の背景にあるデザイナーとしての想い、ファッション業界への問題意識などを語っていただいています。
また、サントリー学芸賞を受賞した『分解の哲学』の作者である藤原辰史さんとの対談でも、食品産業とも共通するような構造的な問題などについて対話をめぐらせ、”作らない事も含めたイノベーションという意味で、イノベーションに否定の接頭辞”un-”をつけて「アノベーション」”といった興味深いキーワードもでてきました。
他にも1990年代よりサステナブル・デザイン、バイオ・デザインとテキスタイル・デザインを架橋した研究の第一人者として、領域を牽引してきたロンドン芸術大学Central Saint Martinsのキャロル・コレット氏、地質学者・デイビッド・モントゴメリー氏の取材記事、複雑系・人工生命の研究を手掛ける池上高志氏と言語の創造性の研究を手掛ける宇野良子氏と山縣氏との鼎談も配信されています。
未来を考えるために歴史から学ぶ
Fashion Tech Newsでは、最先端の研究やそれを活用したサービス・プロダクトを紹介しています。でも、「最先端」というのは日々更新されるもの。目まぐるしくイノベーションが起きるなかで、一歩立ち止まり、歴史から、そして文化から、その意味やそこで描かれる未来について考えたい、そんな想いでこの企画を作りました。
作ること、作り続けることで発展してきた私たちの社会ですが、それが現在、大きな展開を迎えているということを改めて考えさせられました。これからの時代において大切な価値観を学べる、そんな記事となっているかと思います。濃密なボリュームのあるコンテンツですが、ぜひ多くの人に読んでいただければ嬉しいです!
次回からも、このnoteでは編集部からの記事紹介やオススメ情報などを配信していきます。Webサイトでのメインコンテンツと合わせて、お楽しみください。