共同購入でもっと安く。中国ECサイト拼多多(ピンドゥオドゥオ)から見る中国の消費傾向
中国のEC市場は年々成長を続けている。その中で、創業からわずか3年で米ナスダック市場に上場したECサイト「拼多多(Pinduoduo、ピンドゥオドゥオ)」は他のECとは違ったビジネスモデルで大きく成長を見せている。
共同購入でお得に買い物ができる拼多多
拼多多は、2015年9月に設立された中国のECプラットフォーム。安価な値段で食料品から家電製品まで幅広い商品を取り扱っている。
拼多多の特徴的な機能は、共同購入だ。
ユーザーはWeChatやQQなどのSNSで欲しい商品情報を共有し、時間内に指定された人数の共同購入者を募ると、激安で商品を購入できる仕組みだ。
商品ページには、共同購入者を募集しているユーザーが表示されているため、そこから共同購入に参加できる。また自らSNSで友人や家族に呼びかけることで共同購入者を募集することも可能だ。決められた制限時間の中で、周りを巻き込みながら商品を買うというプロセスは、ゲームのような楽しさがある。
Image Credit : 拼多多
このように拼多多は周りの人々とのコミュニティを強化することで、お得に買い物を楽しめるビジネスモデルを展開し、人気を博した。
中低所得者をターゲットに
拼多多は淘宝(タオバオ)や京東(ジンドン)など他のECサイトと違った消費者層をターゲットにしている。
中国では経済規模の大きさを指標に都市を分類。上海や北京といった一級都市では、高級志向が高まり質の良いものを求めるユーザーが増えた。
一方で、地方都市など「三級都市」「四級都市」に住むユーザーはそういった高級ブランドに手の届かない人も多い。そうしたユーザーを狙ったのが拼多多だった。
競合である淘宝や京東が大都市の高所得者をターゲットとしたのに対し、拼多多は「三級都市」「四級都市」の地域に住む中低所得層の消費スタイルに合ったビジネスモデルを展開。拼多多は異なるターゲットにあわせて安さを売りにしたビジネスモデルを展開したことで、ユーザーの獲得に繋がったと言われている。
アリババの攻撃と課題
創業3年で伸びてきた拼多多だが、課題も山積みだ。
もともと都市部での利用者が少ないことに加え、最近では偽物商品の売買が行われるなど商品の品質に関するクレームが話題となった。
また、競合である淘宝が、共同購入機能や低価格商品を展開する「淘宝特価版アプリ」や、新たな格安販売「天天特売」をリリース。拼多多にとって大きな脅威となっている。
中低所得者を狙って大きく売上を伸ばした拼多多。
課題も山積みだが、今年の中国ECモールの大イベント618商戦でも、セール開始から1時間で売上高は前年同日比10倍となるなど、成長を続けている。中国は人口が多いだけあって、生産も消費も量的に大きい。そのため売れたかどうかは数字としてひと目でわかるので、売れなければその分のダメージも大きい。拼多多を含め、今後も中国のEC市場には注目だ。
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