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AR試着で広がる、アクセサリーのオンライン販売

オンラインでアクセサリーを購入した経験はあるだろうか。
ECが発達した今では、アクセサリーをオンラインで購入する機会は少なくないが、商品画像を見るだけではサイズ感や色、材質、サイズ感などが正確にはわからない。届いた商品が想像していたものと違い、返品する人は少なくないだろう。

現在、このようなECでのアクセサリー購入で起こる問題を解決する、AR(Augmented Reality:拡張現実)技術を使ったサービスが注目されている。今回はARを活用し人気を博したアクセサリーブランドの事例と、今後の可能性について紹介する。

CaratLane VirtualTryOn

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Image Credit : CaratLane

インド最大のオンラインジュエリー企業CaratLane(カラットレーン)は、顔認識技術と3D技術を使ってユーザーがイヤリングを仮想試着できるアプリVirtualTryOnを開発。ミレニアル世代を中心にアプリ利用者が増え、売上を大幅に成長させた。購入者の40%がこのARアプリ経由だという。

使用方法は簡単だ。カタログの中から試着したいイヤリングを選び、試着ボタンを選択。次に左右の顔の形を記録し、イヤリングの位置を調整。バーチャルのイヤリングをつけた自分のGIFをタップして動かすことで、試着した正面の姿、横顔などを確認できる。気に入ったイヤリングがあれば、その場で購入可能だ。

Image Credit : YouTube By CaratLane

CaratLaneのARジュエリーの特徴は、数千種類のイヤリングを試着できる点だ。また、試着した様子をFacebookやWhatsApp(ワッツアップ)、メールなどで共有することもできる。
一方で、試着したイヤリングをズームできないことや、ダウンロードはiOSやAndroidのみ対応可能であること、Androidでは正確な色を反映できないなどの課題も残っている。

Lologem Jewelry Virtual App

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Image Credit : Lologem

2017年に設立された韓国企業Lologem(ロロジェム)は、3D AR機能を利用したイヤリング試着アプリを開発。

Lologemのアプリの特徴は、自動顔認識機能でイヤリングの試着ができることだ。使用方法は、まずカタログから好きなイヤリングを選択。次に、顔認証機能を使って顔を検出し、イヤリングを試着する。気に入ったものがあれば、その場で購入可能だ。

Image Credit : YouTube by Lologem

3D機能を使用することで、ユーザーの顔の大きさに合わせてイヤリングが実サイズで表示。ユーザーがカメラに近づけばイヤリングのサイズも大きくなり、遠ざかればイヤリングのサイズは小さくなる。実際の着用時のサイズ感や色を確認可能だ。このアプリが登場してから、イヤリングの売上は前年比20%以上増加したという。サイズ感がどれだけオンライン販売で重要かがわかるだろう。

試着できるイヤリングの種類は多くなく、イヤリングの試着位置が不正確であるといった課題もあるが、Lologemはイヤリング以外の製品でもAR機能を展開していくことを計画している。

TRYON

カナダのテック企業TRYON Technologyは、AR技術を使ったジュエリー試着アプリ「TRYON」を発表。
カナダの最先端テクノロジーアクセラレーターDMZに投資され開発された。

Image Credit : TRYON Technology

試着できるジュエリーの種類はリングやブレスレット、時計だ。
使用方法は、まずカタログから好きなジュエリーを選ぶ。そしてカメラで手を映すと指や腕のサイズを測れるので、自分サイズのジュエリーを選べる。気に入ったジュエリーは、そのまま購入可能だ。

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Image Credit: TRYON Technology

試着できるアクセサリーは、製造する前に3D/CADモデルとして作製。ユーザーは画面上で左右上下に指を動かすことで、360度アクセサリーを確認できる。

返品を減らすAR試着

アクセサリーの大きさはミリ単位であり、サイズ感の把握が難しい。
また色や材質、サイズ感など画像情報だけではわからないことが多いため、衣服よりもオンライン購入へのハードルが高い。

しかし、AR試着によって自分の顔や指の大きさに対するアクセサリーのサイズ感を把握できることで、安心してユーザーは商品を買えるようになる。さらに多くのブランドでAR試着が可能になれば、オンライン販売の増加や返品数の削減が実現するだろう。


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