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スマートコミュニケーションを用いた新たなオンラインサービス「inside」の可能性

ケリンググループをはじめとした数々のラグジュアリーブランドを顧客にもつライブチャットサービス「inside(インサイド)」。オンラインでの顧客行動を可視化する当サービスはゲームチェンジャーとも称され、eコマースにおいて企業にも顧客にも献身的なコミュニケーションを実現している。今回、「inside」の母体であるオーストラリア発祥のPowerfront(パワーフロント)社の共同創業者であり、現在CEOであるHadar Pazにインタビューを行った。

insideがラグジュアリーブランドに用いられる理由

──insideはどのようなサービスですか。

insideは、オンラインでの顧客の行動を数字で見せる画面を、3Dで仮想的に作り上げることによって、顧客の行動を可視化するサービスです。オンラインで見えにくい顧客の行動を、可視化することによってクライアントとなる企業の潜在的な顧客を購買に繋げることができます。

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Image Credit : inside by Powerfront

Powerfrontは2004年の創業当初、オーストラリアのeコマースプラットフォーム事業を展開していました。しかし、オンラインストアが、店舗に行くためのカタログとしての機能しか果たさず、購買率が1%と圧倒的に低いという問題がありました。これの主な原因に、企業側が見る情報は全て数字の羅列でとても見にくく、改善はおろか数字からでは原因解明が難しかったのです。

そこで、仮想的にショップをサイト上に再現することにより、リアルタイムでのウェブ訪問や購買行動を見やすくするサービスへと切り替え、ウェブサイトに来訪する顧客や陳列商品を一気に見せる仕組みにしました。実店舗のように作り込まれた3D空間内に、アバターと化した顧客が動くことで、カテゴリー毎・時間帯毎・顧客層毎といったデータを一挙に可視化したのです。

例えば、アバターの色は顧客の訪問頻度を示しています。青色のアバターは、初めて訪れる顧客。黄色は、再訪顧客であり、緑はVIP顧客というように、これまでの購入履歴に基づいて、顧客を識別できる工夫を設けました。特にVIPには、これまでの感謝を伝えるなど手厚くコミュニケーションを行い、継続した訪問を促すことができます。

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Image Credit : inside by Powerfront

双方向のコミュニケーションを可能にするサービス

──insideの強みはどこにあるのでしょう。

実店舗の良さは、来店した時に自分のことを気にかけて積極的にコミュニケーションをとってくれる店員がいるからこそ、購入まで気持ちよく行うことができる点にあります。オンラインがメインストリームとなっている今だからこそ、実店舗での購入体験の気持ちの良さをウェブでも実現すべく、insideを実践しています。insideでは、顧客からでもオペレータからでもどちらからでも会話を始めることができる仕組みを用い、オペレータ側も再訪顧客に気付いて話しかけることができるようにしています。

これを「Proactive Engagement(プロアクティブ・エンゲージメント)」と呼んでいます。例えば、オペレータは顧客のアバターをクリックし、カートの中身、購入履歴やチャット履歴を閲覧でき、過去の購買傾向から将来的な購買までを一覧することができます。
さらに、オペレータ側からもメッセージを始めることもできるようになっています。これにより、何らかの疑問から購入までに至らなかった潜在的な顧客の心配事や不満を解消、購買にまで繋げることが可能となっています。

──実際にサービスを利用するにあたり、顧客側が何か特別に行うことはありますか。

何もありません。我々のサービスは、クライアントのウェブページの右下にチャットを始めるボックスを設置する程度で、簡単にチャットを始めることができます。

──アパレル産業だけではない、他ジャンルにも取り組んでいるそうですね。

はい。例えば、大学入試の手引きをサポートしています。実践したプロジェクトの1つに、ベイラー大学の受験資料作成から入学までの長い手続きのサポートが挙げられます。受験を考えている生徒のブラウジングの履歴を元に、オープンキャンパスを始めとし、入学の流れまでをサポートします。これにより、受験する生徒に役に立つ情報を提供できるだけでなく、募集する大学のより良いマッチングをサポートすることとなります。大学入試のような長い手続きを踏む場合、近くにコミュニケーションを取れる存在がいるというのは、安心にも繋がるでしょう。

──日本ではどのような顧客を抱えていますか。

主にはケリンググループがメインです。現在アメリカ国内で、試験的にユニクロが使用しています。日本の顧客獲得も見据えて、今後は展開していきたい所存です。

メッセンジャー産業展開にむけて

──このようにスマートコミュニケーションを実践している、Powerfront社のコミュニケーションもやはりスマートなのですか?

これまで社内では既存のサービスを利用してきましたが、アバターを介したコミュニケーションを実践する中で、新しいチャットのあり方を考えています。今後実際にinsideのサービスにも取り入れていくつもりです。
現在、自社でテスト中の新たなツールは、リアルタイムで双方に反応を可視化できるメッセンジャーです。

例えば、大人数のトークルームでチャットをする場合、コメントやリアクションを行うタイミングが難しいと感じたことはないでしょうか。会話の波の中で会話の腰を折ることなくリアクションをすかさず行うために、独自のメッセンジャーでは、チャットルームにそれぞれが自分のアバターを持ち、アバターに感情を表すアニメーションを行ってもらうことで、流れるチャットとは別にリアルタイムでリアクションを残すことができる。これにより、チャットへの参加率を誘発することができ、臨場感を持って会話に参加できるようになります。

insideのサービスで実際に用いる場合、アバターのアニメーションが画面に表示されます。オペレータ側がメッセージを打ち込んでいる様子を伺うこともできることで、返信までの時間の遅延への苛立ちを解消することができます。そして、オペレータの対応を受け顧客側も、emojiのような感覚でアバターにアニメーションを演じてもらうことで、より簡易的に感謝の気持ちを伝えることができます。

このように、顧客もオペレータも双方の状況がより見えやすくなる機能を追加し、新たなメッセンジャーのあり方を提案、産業への展開を見据えて開発を進めています。

──日々の会話からヒントを得て、ストレスの無いコミュニケーションを促していく。メッセンジャー上での日常会話においても、感情を可視化する機能を備えることで、新たなコミュニケーションの可能性を見出す。実践の中で直面する問題解決のヒントは、日常の中に転がっているのかもしれませんね。ありがとうございました!

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Image Credit : inside by Powerfront

いつでも、どこでも好きな時にコミュニケーションが取れる「inside」

オンライン市場が拡大するなか、見えにくい商品の詳細、減少する店員との会話を、自分の都合の良い時間にどこからでも、そして自分のペースで購入までを気持ち良く行えるサービス「inside」。企業にとっても見やすく、捉えやすいインターフェースを用いることで、建設的にサービスを成長させることもできる利点も揃える。相手の見えないコミュニケーションを、アバターに代弁してもらうことで、双方にとってより身近に感じられるサービスの囲いは、新たなコミュニケーションの可能性を示していると言えるだろう。

Text by Hanako Hirata


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