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サステナブルの思想と技術を広めるAllbirds、日本での反響は?

世界一快適な履き心地とサステナブルなテクノロジーで、注目を集める「Allbirds(オールバーズ)」。その日本第1号店が2020年1月10日原宿にオープンし、連日大盛況だ。Allbirdsはサンフランシスコのスタートアップ企業で、元サッカーニュージーランド代表のティム・ブラウンとバイオテクノロジーの専門家であるジョーイ・ズウィリンジャーが2016年に設立。シンプルなデザイン、洗濯機で丸ごと洗濯できる、手入れのしやすさなども人気の理由だ。

しかし、その最大の特徴は環境に配慮したサステナブルなものづくりだろう。今やシグニチャーとなっている「Wool Runners(ウールランナー)」は、最高級のメリノウールを使用。他にも、ユーカリの木の繊維からつくられたシューズなど、6種類のラインナップを展開。靴紐もペットボトルからつくられ、靴底はブラジル産のサトウキビを加工した素材。靴箱ももちろん、再生ダンボールを90%使用している。

徹底したサステナブルなものづくりはシリコンバレーを中心に支持を集め、Googleの共同創業者のラリー・ペイジやTwitter元CEOのディック・カストロも愛用。アカデミー賞の受賞経験もあり、環境活動家のレオナルド・ディカプリオは出資を行っている。

今回は、サステナビリティへの取り組みの基礎となる研究開発、そして日本でのサステナブルなプロダクトの広まりについて、日本でのマーケティング戦略を担う蓑輪光浩氏に話を伺った。

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マテリアルイノベーションカンパニー

──サステナブルなものづくりが特徴ですが、自社で素材開発からしているのでしょうか?

そうですね。共同創業者のジョーイ・ズウィリンジャーは、再生可能な資源に対しての研究開発を長年ずっとやっています。彼の思想は「我々の会社はマテリアルイノベーションカンパニーだ。」ということ。素材をどう快適にし、地球に還すのかというのを第一に考えています。

自分はもともとスポーツカンパニーにいましたが、そこでのシューズの開発はスポーツのパフォーマンス向上に対しての研究を主に行っています。一方でAllbirdsの場合は、どうやったら地球に優しく、そしてタイムレスなデザインを多くの人に履いてもらえるかという思想から入るので対極だと思います。もちろん他社も環境にやさしいプロダクトをコレクションと出していますが、我々はマテリアルイノベーションカンパニーいうところに行き着きます。

──もっとも中心的な素材は、どんなものでしょうか?

アッパーだとウール、ミッドソールだとSweetFoam™という素材が全部のプラットフォームで使われています。SweetFoam™はサトウキビを原料にした素材です。サトウキビは自生し、あまり手間がかからない。世界初のカーボンネガティブな樹脂素材です。

──廃棄も環境負荷が低いのでしょうか?

そうだと思います。また廃棄ではなく、回収してリサイクルすることも、これからやらないといけないと思っています。アメリカは既に、Soles4Soulsというコミュニティに還元しています。また基本的に30日間どんな理由でも返品無料にしているので、まだ命あるプロダクトを活用していきたいため、日本も検討していきたいと思います。

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オープンソースで行う研究開発

──研究開発は、基本的にはアメリカで行っているのでしょうか?

そうですね。アメリカのチームに研究者がいて、ジョーイのネットワークを活用して開発しています。まさにインターネット世代だなと思ったのが、基本的にオープンソースにしているところです。権利を抑えて囲むのではなく、より多くの人に使ってもらうようにしています。SweetFoam™では、今は100社ぐらいが参考にし、なかには商品化されたものもあると聞いています。

より多く使われて需要が増えることで、研究開発への投資が増えてコストが下がります。そうすると、サービス的には地球に優しくなるという思想が強く存在します。

──テキスタイルのオープンソースはすごく珍しいですね。

日本でも、素材メーカーはオープンソースと近いものがあると思っています。しかしAllbirdsは特に、ビジネスドリブンではないオープンソースだと感じています。

──それだと、他社がSweetFoam™を用いた靴を出すのもありなのですか?

大丈夫です。2019年にAmazonがプライベートブランドで、Allbirdsに非常に似たものを安価で販売したことがありました。それを見つけた創業者のジョーイは、「アマゾンは我々のスニーカーのデザインではなく、環境に対する取り組みを真似するべきだ」とメディアに答えていました。

Amazonや他のブランドにこの素材いいなと使って頂くことは、皆さんに認知されて、多くの方に履いて頂くことになります。そのため、我々としては売った分のロイヤリティよりも、最終的にはコストが下がることや研究開発に投資が増えることの方にベネフィットを感じています。

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──日本でも独自の素材を開発して行く予定はありますか?

できたらやってみたいと思っています。日本のものづくりは世界で素晴らしい技術を持っていますし、言語的な問題やグローバリズムのコンセプトが欠けていることから、世界に発信できてないことが沢山あると思っています。

折を見て、日本中の伝統的な技術や地域で頑張っている人や企業とパートナーシップを模索したいと思っています。

──靴以外の開発の可能性もありますか?

今は靴下を販売していますが、ウールとユーカリの木を配合して作っています。靴ができて、靴下ができて、また何か…という形でまたつくっていきたいと思います。靴をつくるのがもっとも難しく、アパレルは靴に比べ、参入障壁が低いと私は思っています。

日本でのサステナビリティの浸透

──オープンして数日経ちましたが、サステナビリティへの姿勢がどう受けられていると感じますか?

良い意味で期待以上でした。様々な調査からも、日本人のSDGsへの認知度は教育の成果もあって、ある程度向上しています。調査だと特に、都心に住んでいる20代後半から40代のハイキャリア層の反応が比較的良かったため、そのあたりの層のお客様が来るかなと思っていましたが、実際はもっと幅広いように思います。

「Look Good, Feel Good」で、見た目もシンプルでスタイリングしやすいプロダクトでありながら、社会に対して良いアクションを少しでもしなきゃいけないと思っている方々が多いのではないかと思いました。なので、ふらっと入ってくる方ももちろんいるけれど、それよりも、自分で見て、調べて、履いて、納得して購入していく人の方が多いかなと思います。

──日本ではサステナブルな選択肢となるプロダクトが少ないなかで、Allbirdsでの購入がサステナビリティへ関心をもつきっかけになりそうですね。

これほどメディアからも注目して頂いているのも、サステナビリティに先進的に取り組んでいるアメリカのブランドが日本に進出し、日本の消費者のみなさんの意識が変わって、他のプロダクションにも変化が起きることを期待しているのだと思います。

ファッション業界に限らず飲食や小売店も全部そうですが、徹底した取り組みは難しい。日本は特に、梱包が過剰なところがありますが、Allbirdsの靴箱のダンボールも90%再生可能なものを使っていますし、靴箱にシューレースをつけることでショッピングバックの代わりにもなります。社内業務でも紙製のものは再生紙、ミーティングはペットボトルを極力使わないなど、とにかく徹底しています。

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──サステナビリティがトレンドとして消費されてしまうという危機感があるなか、そこまで徹底しているのは安心できますね。

サステナビリティへの取り組みは今、待ったなしです。自分達にのしかかってくる大きな問題ですし、若い世代にどんな社会を残していくのかという課題は、僕らの責任でもある。

なので、今のファッション業界のサステナビリティへの盛り上がりは、すごい良いムーブメントだと思っています。ヨーロッパでは、ステラマッカートニーなどサステナビリティを以前から実践してきたブランドがありますが、今までは少し良いことやっているなとか、自分とは違う人のように感じていた人も多いのではないでしょうか。もう少しでオリンピックが始まり、どんどんと海外から注目を集める今の日本は、機会もリスクもあります。日本人が危機感を持って、今、色々なことを考え始める時期だと思っています。

世界の一員として日本がどういう立ち振舞をしなきゃいけないのか、世界から注目されているこのタイミングで考えてほしい、今ここが日本の転換点だと思います。変わらなきゃいけないし、変わりつつある気もしています。特に20代の就職活動している世代では、自分の頃は給料よくてモテそうというのが判断基準の一つと考えられていましたが、今は社会に対して何をしていくかというのが、ひとつの人生の軸を選ぶ判断を担っているように思え、それは素晴らしいことだと思います。2020年に注目しています。

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サステナブルなプロダクト顧客に届けるだけでなく、その思想を社会に広め、また技術も提供するAllbirds。日本への出店は、日本のサステナビリティへの関心を高め、コミュニティの形成を推し進めるだろう。今後も、Allbirdsの展開に要注目だ。


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