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【特集】リモートでファッション展示会が開催できる「REMOTEN」:ビデオ通話での商談も可能(前編)

新型コロナウィルスの感染拡⼤防⽌のため外出⾃粛は、ファッションの展示会にも大きな影響を与えている。そこで博報堂マグネットは、ファッションブランドが簡単にオンライン上で開催できる展⽰会サービス「REMOTEN(リモテン)」を本日、6⽉15⽇(⽉)リリースする。

ファッションの展示会をデジタル化・リモート化するとは、いったいどんな試みだったのだろうか?その開発の経緯やサービスの詳細に迫るべく、博報堂マグネット 執行役員・黒原康之さん、博報堂マグネット シニアコミュニケーションプランナー・佐々木裕也さんにお話を伺った。

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コロナで高まるオンライン展示会への要望

ーーそもそもファッションの展示会とはどんなイベントでしょうか?

黒原康之さん(以下、黒原):簡単に言うと、「次のシーズンにこんな新作が出ますよ」という雑誌の編集者やスタイリストなどプレスに対するお披露目の会であり、「こんな製品が出るからお店に置いてくださいね」という、百貨店やセレクトショップのバイヤーに対する商談の会です。いわゆるファッションビジネスの次のシーズンのスタート地点が、ファッションの展示会の位置づけです。

展示会はシーズン先取りで開催されますから、一般的に「秋冬」といわれる展示会が5月ぐらいにあって、「春夏」といわれる展示会が12月ぐらい、半年前ぐらいに展示会が行われます。

ーーそういった展示会が、今まではリアルで行われていたわけですね。このタイミングでオンライン上で開催できる展⽰会サービスをリリースするというのは、やはりコロナの影響があったんでしょうか?

佐々木裕也さん(以下、佐々木):コロナは確かに、かなり影響していますね。4月頭くらいだったと思うのですが、営業の社員が得意先から「オンラインで展示会できないかな」というような軽い相談を受け始めました。僕の方にもそんな話が来るなかで、1人の営業が「オンライン展示会の相談を受けてるんですが、何か情報ありますか?」という内容を全社メールで流したんです。

それに対する反応を見ていたら、オンライン展示会の相談がさまざまな得意先から来ているようで、「だったら自分たちで作って、各社に提供するってのはどうだろうか」と社長に相談したところ、ふたつ返事で「それはいいことだからやろう」と。そんな話からこの企画は始まりました。リリース決定まで持って行ったのは、それから2週間ぐらいですかね。

ーーすごく早い決断ですね。

佐々木:遅くとも6月中旬までには必ずオープンしないと各ブランドは展示会が開けませんから、必ずそこには間に合わせようということで急遽チームを組みました。WebのUIやデザイン・フロントとバックエンドを組める制作会社(STANDFOUNDATION Co., Ltd.、IRKA INC.)と急ピッチで開発を進めている感じですね。

ーーなるほど。ということは、コロナ前にオンライン展示会の発想はなかったということでしょうか?

佐々木 そうですね。「このコロナの状況で代理店に何ができるのかな」とずっと思っていたのです。そんな時にオンライン展示会が全社メールで話題になって、「いいなぁ」と可能性を感じて。

いろんな実装機能を兼ね備えると結構コストがかかってきそうで、それを各ブランドに個別で提案したところで通るわけなく、「だったら自分たちで作ってみんなで使うようにすれば、採算も取れるし行けるんじゃないか」みたいに思ったということですね。

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リモートサービスをリモートで制作

ーーどのくらいの人数で作っていらっしゃるのでしょうか?

佐々木:博報堂マグネットのチームメンバーは12人ですかね。当初3人から始まり、日を追うごとに増えていってって感じです。このチームはリモートだったり実際に会ったりのミーティングもしているんですが、制作をお願いしているデザインチームやエンジニアとは見事に100%リモートで成立してますね。zoomと電話とメールでしか会ってないです(笑)

ーー意外とできちゃうもんなんですね?

佐々木:できちゃいますね(笑)そういえばバックエンドを担当する天才エンジニアとは、顔すら見てないですね。

ーー制作は別会社に発注しているということですね。

佐々木:はい、ウチはあくまでも企画とディレクションしかできないので、デザインとUI/UX組むのは外部の制作会社のSTANDFOUNDATION Co., Ltd.さんとIRKA INC.さんの2社にお願いしています。

ーー制作を進めていくうちに、何か想定外のことや路線変更を余儀なくされたことはありましたか?

佐々木:毎日そうですね。最初はこうしようと思って組んでいても、これで完璧だなと思っていても、各営業が「こういうのをやります」と説明資料を作って得意先に説明すると、「例えばこういうことできないですか?」と戻ってくるんです。

やっぱり得意先からのフィードバックは使う当事者ですから納得できる機能が多く、無視できないことも多い。でもそれを組み込むならば他の機能どうしようかなとか、それを入れることによって別の部分が機能不全になることがあるんだったらこうしようかとか、毎日路線変更、修正の日々ですね。

ファッション業界の慣習ゆえの課題

ーー得意先のフィードバックで「なるほど!」と思って追加した機能について、具体的に教えていただけませんか?

佐々木:たとえばスタイリストがファッションページでモデルに着せる洋服をブランドから借りる場合、今までだったら電話でブランドのPRに連絡して、「いついつ空いています」とフィードバックをもらって、手帳を開きながら「じゃあここで」みたいなやり取りが行われていました。

今回、リース予約という機能を作ったのですが、それはWeb上でボタンを押すとカレンダー表示が出て、「この商品はいつからいつまで貸し出せます」と一発で分かるという機能です。そこで予約して住所入れて送ればリース予約が完了するという形でしたので、自分的にはめちゃめちゃ便利で完璧だなと思ったんですけど、得意先から「いや、貸したくない場合もあるじゃない」って言われて…。

ーーなるほど。

佐々木:ファッションブランドはイメージが大事ですから、できればA誌には貸したくない、みたいなことがあるわけです。さらにA誌に貸してしまったら、本当に貸したいB誌に貸せない、ということが起こる可能性もあります。でも本来、得意先としてはB誌がものすごく大事で、そこに優先権が回らないっていうのは避けたいから許可制にできないか、と言われたんです。

それは機械で判断できないので難しいなと頭を悩ましたのですが、解決策として、リースで予約できる在庫数を実際の在庫数より多めに、例えば100個とか置いておいて、最終的なリースの確定はそこから選ぶという仕組みにしたんです。それならば今のシステムの中でもできるかなということで採用しました。

機械は忖度ができない。便利だけでは通用しない

ーーたしかに。そういう人間っぽい仕組みが、機械ではなかなか難しいということですね。

佐々木:どこまでいっても人間対人間のコミュニケーションが大事で、「機械的に便利なだけでは通用しないんだな」と思いました。

最初は旅行サイトのカレンダーみたいなのを想像して、空き枠が空いてたら即予約できるって便利だなと思って。でも旅館だとお金を払ってくれたら誰でも泊まって欲しいわけなんですけど、ブランドを背負った商品となるとそうじゃない、誰にでも貸したいわけではないということに改めて気づかされました。

ーープレス向けとバイヤー向けと機能が分かれているんですよね。

佐々木:URLとパスコードがそれぞれ別のもので入口は別になるのですが、中身はほとんど一緒です。唯一違うのは、来場者間のビデオ通話やチャットがバイヤー向けではできないことです。担当者と来場者の間ではビデオ通話もチャットもできるんですが、来場者のバイヤー同士の名前は見えないようにしています。

ーーそれには、どんな意味があるんですか?

佐々木:プレス同士は横のつながりがあり、展示会場で会って話したりするのがひとつの楽しみでもあったりするので、来場者情報をクローズドにする必要性はないんですけど、バイヤーは結構そこを気にされるみたいで。

例えば「ライバル的な存在のセレクトショップ、C社のバイヤーとD社のバイヤーが同じ日に展示会で遭遇する」みたいな状況は業界的にご法度で、「他社に何の商品を買い付けたか」はやはり知られたくない。「あのお店の方が先に呼ばれていた」だとか、そういう知られたくない情報があるということでしたので、そこは伏せようという話に行き着いたんです。それ以外はプレス向けとバイヤー向けと機能は同じです。

ーー逆に言うと、今までのリアルな会場では2社が一緒に展示会で鉢合わせするというセッティングがご法度でしたが、オンラインで見えなければ同時にアクセスして同時に商談してもかまわなくなったということですね。

佐々木:そうですね。逆に利点が生まれたということですね。


ファッション業界特有の慣習と向き合いながら開発された「REMOTEN」。後編では、その機能や特徴を掘り下げていきます。お楽しみに!

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