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小ロット多品種化と生産効率化を目指す「デジタルコンシェルジュ」の製造工場管理システム

多様なニーズに応えるよう進化してきたファッション業界。D2Cやサステナビリティへの関心が高まる現在、小ロット多品種生産への需要はさらに高まっていきそうだ。ただ、デザイン性と重視しつつ、小ロット多品種で生産できる工場とブランドとのマッチングは難しい。

そこで、この問題に取り組むべく、国内縫製工場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進して小規模ブランドを支援する「デジタルコンシェルジュ」サービスが開始された。デジタルコンシェルジュは、どのようにして縫製工場にDXを取り入れているのか、そしてその可能性とはいかなるものなのか?サービスの詳細や展望について、運営するデザインラボ株式会社代表の深沢光さんにお話を伺った。

より総合的なブランドマーケティングを目指して

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デザインラボ株式会社はファッションブランドやファッション製品に対して、デザイン制作やマーケティング支援、サプライチェーン開発まで行うデザイン会社だ。

代表の深沢光さんは、アパレルメーカーや専門商社、リテールのブランド企画、生産業務に10年以上携わり、会社設立後は百貨店やGMS小売業に向けたマーケティングやアパレルメーカーでのブランディングを行い、総合的なブランド支援を行っている。「デジタルコンシェルジュ」事業においては、デジタル面に強い外部パートナーとスクラムを組み、アパレルの企画生産業務に専門性の高い社内スタッフでチームを編成し、業務を行っている。

もともと同社では「アパレルコンシェルジュ」事業として、ファッション製品の生産のワンストップオンラインサポートを行っており、アパレルメーカー在籍中から繋がりがある国内工場から最近提携を始めた工場まで50社前後のパートナーシップを結び、ブランドとマッチングを行っていた。

深沢さんはファッション業界の現状について、「特に2000年代ファストファッション企業の日本進出や、国内アパレルメーカーの海外生産へのシフトによって、中価格帯ブランドを支えていた消費者層が崩壊し、高価格帯と低価格帯の二極化の傾向が進む中、中価格帯市場に新たな小規模ブランドが台頭している」と分析している。その上で、小規模ブランドがコロナ禍でも安定した生産に対応できるように、リモート体制や情報のデジタル化、オープン化により生産効率を高めていくことが急務であると考え、今年の7月よりモデルとなる中小規模の縫製工場を対象に「デジタルコンシェルジュ」サービスを開始することとなったという。

アパレル製造工場のオープン化とリモート化

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「デジタルコンシェルジュ」のサービスの特徴は、縫製工場のオープン化とリモート化の2つに大きく分けられる。縫製工場のオープン化では、複数の工場ラインの稼働率を把握することで効率のよいマッチングを行う。アパレル製品の縫製工場では閑散期や繁忙期があり、これを平準化することが課題であったが、この時期が工場によって少しずつ異なっていることがある。

深沢さんによるとデジタルコンシェルジュでは、各工場にクラウドから稼働状況を一定の基準に基づいて情報を収集し、複数の工場ラインの稼働率を把握することによって納期や価格における受注の最適化が可能になる。

つづいて縫製工場のリモート化とは、オンラインコミュニケーションと情報資料のアクセシビリティーによって行われる。縫製工場がこのオンラインコミュニケーションを行うことで、複雑なデザイン表現を高い精度で実現し、生産進捗管理、製品検品を遠隔でありながらオンタイムで実現することができる。デザインや素材、パターン、仕様書、加工などの情報のアクセシビリティーを行い、管理することで高い生産性、再現性を目指すことができる。

このように、デジタルコンシェルジュは国内縫製工場の協力によって行われるサービスと言えるだろう。パートナーシップを結んでいる中小規模の縫製工場は、経験の豊富な技術者によって支えられてる。アイテムは多品種から専業まで様々だが、新たなシステム導入のイニシャルコストが少ないようオープンリソースをベースに活用している。

ブランドと着用者を「Made in Japan」でつなげる

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「デジタルコンシェルジュ」のサービス情報をリリースしてから、同社には様々なブランドや周囲から応援の声が集まった。しかしながら、国内縫製工場のデジタル化という新たな試みは様々な課題も残るという。深沢さんは以下のように語っている。

これからの国内の中小規模縫製工場には高い技術による「表現力」とデジタルトランスフォーメーションによる「生産効率化」、情報をオープン化することによる「発信力」の3つの要素が重要になると考えています。

しかし、この経験と技術に基づいた「表現力」は数値化しにくい工程も多く、一律的な「生産効率化」は逆に「表現力」を毀損し、「発信力」までも弱めてしまうことにもなりかねません。3つの要素のバランスの最適化は工場により様々で、現状は試行錯誤しながら行っていますが、将来的には最適化をAIの活用などにより自動化していきたいです。

小ロット多品種に対応するために、「デジタルコンシェルジュ」が目指すゴールは小ロット多品種生産と生産効率化の両立になる。

これは、ファッション業界のパラダイムシフトにおいて重要な要素となると深沢さんは語る。また、これは縫製工場側のデジタル化だけでは解決が難しいため、もうすこし業界全体によるアプローチも課題であるという。

深沢さんが思い描く、国内のアパレル生産の理想的な在り方やテクノロジー活用についての想いは以下のようなものだ。

本来、すべてのファッションに携わる企業は「着用者」のためにあると考えています。製造においては、独自性をもちながら、知識の共有や情報の透明化によりブランドと着用者を最適にマッチングするという役割をMade In Japanとして担えれば理想的だと思っています。

現在はオンライン生産サービスのみ提供ですが、実際にデザインサポートやマーケティング、ブランディングの要望も出ているため、強みであるブランディング、マーケティング、デザインのサポートもオンラインサポートシステム化を進め、リリースする予定です。このようなサービスは、モノからコトへの価値の変遷やサスティナブルの追求の中で、さらに強まっていくと考えています。

デザインラボ公式サイト

「デジタルコンシェルジュ」によって効率の良い生産システムを構築し「アパレルコンシェルジュ」からブランドは複数の製造工場から最適なマッチングを行うことができる。今後コロナ禍も合わさり、従来型のブランド進出や展開はより困難になっていくだろう。

その中で「デジタルコンシェルジュ」のような新しいブランドに向けた生産支援サービスと今後リリースされるブランディング支援サービスにより、自らではブランド展開が難しかったファッションデザイナーの才能を実現可能にすることができるかもしれない。

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