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元リーバイスの日本人デザイナーが手がける環境に配慮したデニムブランド

ジーンズの生みの親であるLEVI'S(以下、リーバイス)の日本・中国・アメリカ支社で勤務、その後日本人として初めてサンフランシスコ本社にてデザイナーとして従事した前村拓実さんが22年1月に株式会社ラフォエムを設立し、デニムブランド・AUTHENをローンチした。

AUTHENは「より良い未来をデザインの力で」をコンセプトに、服を通して社会と未来に貢献するブランドだ。環境に配慮した素材と製法で作る定番商品や古着を活用したアップサイクル商品とサービスで、あらゆる人に寄り添う服作りを手がけている。

今回は同社の代表である前村さんに、AUTHEN設立の経緯や環境に配慮した商品作りについて話をお聞きした。

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① リサイクルをテーマとする理由

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AUTHENでは現在、リサイクルを大きなテーマとして物作りをしている。そのきっかけには、アパレル業界が抱えている大量廃棄の問題を解決したいという想いがあった。

日本だけでも、年間100万トンもの衣服が捨てられているとされる。そのなかで同社は、本来ならば処分される製品在庫や廃材を様々なアプローチで活用し、シンプルな定番商品から個性あるアップサイクル商品まで幅広く取り扱っている。

「デニムは頑強な作り、経年変化を楽しめるという利点から、アパレル製品の中で最も製品寿命の長いと言われるアイテムです。その利点を生かしながら、環境に配慮した継続可能な素材と日本の卓越した技術で、品質の高い商品をより長く楽しんでいただけるシンプルなデザインを心がけています。」

② リーバイスを経て自社ブランドを設立

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前村さんは前職、​​リーバイスのアメリカ本社で17年間に渡り日本人初のデザイナーとして従事していた。そこではメンズを中心にデニムからトップス、高価格帯から低価格帯の商品まで幅広く経験したという。特に近年ではデザインチームの中心を担い、2018年度は過去30年での最高業績を達成、2019年リーバイスとしては2度目のIPOに大きく貢献した。

「海外留学経験もなかったので、コミュニケーションに関してはもちろん苦労しました。また、語学だけでなく自己主張することが正のアメリカ文化なので、常に自分の意思やチームの意思、会社の意思をまとめながら世界中のニーズに応えられる商品を作ることが命題だったので、容易ではありませんでしたが、とても貴重な経験でした。印象的だったのは週に1度開催されるデザインチームのみの雑談会です。最近気になることや週末に印象に残ったこと、本で読んだこと、おもしろかった映画などをシェアするんです。シンプルですが、この意見交換から思いがけない発想が生まれるのです。チームメンバーは世界中から集まっており、それぞれの生活背景や興味が違えば違うほどいい刺激になり、おもしろい発想が生まれました。このような多様性あるアメリカ社会だからこそ、その機会はとても貴重な経験でしたし、デザインだけでなくブランドやチームの活性化に大きく寄与していたのではと思います。」

③ これからの展開について

今後については大量生産せずに済む、長く大切に着たいと思ってもらえる定番商品をどう作るか、大量廃棄された商品を再利用し、どれだけ魅力的な商品やサービスを届けられるか、この2点を常に考えて商品開発していくとのこと。

「お客様に共感していただけるような商品とサービスをより多くの方に届けられるよう日々精進したいと思っております。海外では日本製の商品はとても信頼されており、日本の良いものを海外のお客様に届けられるような試みを考えて行きたいと思っております。また、デジタル分野の進化はとても早いので新しい技術やコンテンツを活用しながら、商品だけでなく新しい体験とともにご提案できればと思っております。」

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