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鑑定士とAIを掛け合わせた国内最大の真贋鑑定サービス 「FAKE BUSTERS」

ファッション業界に常につきまとうのは、模倣品の問題だ。グローバルな生産体制の弊害でもあり、特にファッションにおいてはブランド品を中心に様々な模倣品が安価で取引され、ブランド価値にも少なからず影響を与えている。こういった模倣品のクオリティは年々高くなっており、私たち消費者では本物か、贋物か見分けるのは難しいものも多い。

このような問題を解決するために開発されたのが、真贋鑑定サービスを行う「FAKE BUSTERS(フェイクバスターズ )」。独自のテクノロジーを用いた鑑定サービスだ。今回はFAKE BUSTERSのサービスやテクノロジーについて詳しく知るべく、運営するIVA株式会社で経営戦略、PR・広報を務める谷阪栄人さんにインタビューを行った。

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どこで購入しても安心できる市場を目指して

ーーまず、FAKE BUSTERSの簡単な概要を教えてください

FAKE BUSTERS(フェイクバスターズ)は、2019年7月に登場した国内最大の真贋鑑定サービスです。月間10000件以上の鑑定依頼を、多彩な経歴を持つ鑑定エンジニアチームと最新鋭の専門機器を駆使して、正確かつ迅速に対応しています。

偽造品を流通させない安心安全な売買の場を作るという理念に共感し、2019年10月に国内最大級のスニーカーコミュニティ・売買サービス「SNKRDUNK(スニーカーダンク)」と業務提携を締結しました。

海外ユーザーの要望に応え、Webサイトは日本語に加え、英語、簡体中国語、繁体中国語に対応しております。サービス内容は、画像による「クイック鑑定」¥550~と、実物を郵送して行う「コンプリート鑑定」¥2,200~の2種類となっています。

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ーーどのような商品を鑑定対象としているのでしょうか?

現在はNIKE、Adidas、Yeezy、Converse、Puma、New Balance、Supreme、OFF-WHITE、BALENCIAGAにおけるスニーカーやアパレルを鑑定対象ブランドとしております。

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ーーサービス開始に至った経緯を教えてください

スニーカー市場が爆発的な成長を続けるなか、比例して成長を続けてきたのが非正規品市場でした。これまでもブランドバッグや高級時計など、様々な場面で問題視をされ続けてきた非正規品ですが、急成長を遂げているスニーカー市場やストリートファッション市場に対しても本格的に力を入れ始めてきたのです。

ハイブランドや高級時計と異なって、ブランドの品質が高いレベルで統一されていないスニーカーやストリートアパレルは鑑定が難しかったため、兼ねてより事業者、消費者を悩ませ続けてきました。ちょうどこの時期、アメリカでは「StockX」、「GOAT」、中国では「得物APP(POISON)」、「nice」、日本では「モノカブ」、「スニーカーダンク」といった商品の真贋を担保する、鑑定付き特化型C2Cマーケットが成長を見せたことで、市場全体で真贋の重要性を再確認した形となりました。

しかし、そういったプラットフォーム以外では依然として非正規品が蔓延しており、抜本的な問題の解決にはなっておりませんでした。市場の更なる成長のためには、消費者の購買活動における”安心”は必要不可欠です。非正規品の脅威から消費者を守ることは単に消費者にとってのメリットだけではなく、マーケット全体の活性化に繋がります。

非正規品問題に対して消費者に代わって立ち向かうサービスがあることで、市場の健全化に繋がると考えたIVA代表・相原の「特定のプラットフォームだけではなく、どこで購入しても安心できる市場になるべき」という理念の元、サードパーティーサービスとして、フェイクバスターズは誕生しました。

鑑定士とAIを掛け合わせた万全の鑑定チーム

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ーー現在のサービスに対する反響はいかがですか?

2019年7月にサービスローンチしてから、右方上がりで鑑定依頼数が伸び続けております。これまで消費者にとって大きな脅威になっていた非正規品から身を守るサービスということもあり、ユーザーからは「助かった!」、「これからも応援してます!」といった温かい言葉を多く頂けております。

また、同時に日本国内に蔓延していた非正規品の多さに驚いたという声も聞かれています。さらに、リユース業界に身を置く様々な法人様からも業務提携のお誘いを頂いており、おかげさまで業界全体から大きな反響を頂くことができていると考えております。

ーーユーザー層はどんな方が多いでしょうか?

スニーカーを含めたストリートファッションに興味を持つ、10代~40代の男性がメインのユーザー層となっております。

ーー鑑定はどのように行われているのでしょうか?

クイック鑑定では、莫大なデータベースとそれを基に開発したAIに加え、熟練の鑑定士からなるチームを各ブランド毎に編成し、1点ずつ細部に至るまで徹底的に鑑定を行っております。またコンプリート鑑定では、クイック鑑定のフローを更に強化し、スニーカーの素材や重量といった基礎情報の鑑定も行います。また、通常はチームを編成して行われていた鑑定も、全鑑定士による鑑定に切り替えることで、より高い精度で鑑定結果を出すことを実現しています。

ーー鑑定に独自開発のAIを用いるというところに驚いたのですが、この開発について、ぜひ詳しく教えてください

莫大なデータベースは、立ち上げメンバーが複数の関連企業から提供を受けたものに加え、採用した多くの鑑定士それぞれが持ち合わせていたデータを掛け合わせて構築されました。データベースは鑑定を重ねることで常にアップデートを続けており、正規品と非正規品の双方のデータを保有していることが、高い精度を実現する鍵となっております。

このデータベースを基に開発され誕生したのが現在のAIです。多くの鑑定士の知識を機械学習でAIに落とし込み、ディープラーニングで莫大な情報を読み込ませ続けることで、ヒューマンエラーの排除という観点においては十分に活用することに成功しましたが、鑑定ブランドの個体差(製造上の品質差異)が大きいという性質には頭を悩まされています。現状では、鑑定士とAIを掛け合わせて互いのウィークポイントを補う形が最適であると考えております。

世界的に安心・安全なファッション市場へ

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ーー鑑定対象となるブランドは、今後も増えていくのでしょうか?

ストリートファッションに関連するアパレルブランドは鑑定範囲として追加していきます。その先は、ハイブランド(例:ルイ・ヴィトン、グッチ、シャネルなど)への拡大も視野に入れてはいますが、そこに関しては検討すべき点も多いため、近々で行うことはないかと思います。

ーーハイブランドへの拡大における懸念点をお聞かせください

ハイブランドは、各ブランドが検品基準を高く設定しているため、市場に流通する正規品には個体差(製造上の品質差異)が大きく出にくい状況にあります。そのため、個体差によって生まれるグレーゾーンが小さく、鑑定においては白黒が付けやすいという形になります。

その結果として、既に多くのリユース事業者が独自の鑑定技術を保有しており、当社の出る幕がないという点が1つ大きな問題として挙げられています。しかし、個体差がないということは裏を返すと、AI鑑定に適しているということにもなりますため、推進する声も社内では聞かれますが、AIを構築するためのビッグデータの用意と開発のリソースを考えると時期尚早であるという結論に至っています。

ーーでは最後に、今後のFAKE BUSTERSの展望についてお聞かせください

日本市場は、未だに非正規品が溢れているプラットフォームや販売店が多く存在しているのが実情です。消費者が安心して買い物ができる環境を整備することが急務ですので、今後は様々な事業者と協力していきたいと考えております。

同時に、海外でも鑑定サービスは普及できておらず、各国の消費者の悩みの種となっていることが分かっておりますので、アジア圏、欧米圏のユーザーの利便性向上のためにWebサイトの多言語対応を致しました。5月からはニューヨークと台湾に事務所を設立、従業員を駐在させており、様々な事業者と前向きなお話もさせて頂いております。そういった海外の事業者を通じてもFAKE BUSTERSの鑑定サービスを提供することで、世界的に安心・安全な市場を作ることが当社の目標であり使命であると考えております。

ーーありがとうございました。



これまで私たち消費者は、自分で真贋を判断して購入しなければならなかった。そこには常に不安がつきまとう。特にオンラインでの購入は判断が難しく、有名なプラットフォームでもリスクを完全に払拭することは難しい部分があっただろう。しかし、FAKE BUSTERSのようなサービスが登場することで、たとえ購入後でも真贋を正確に把握することができ、模造品販売に対策が可能になる。

また、鑑定士の人の手だけではなくAIを駆使することで、鑑定の簡易化、大規模化を実現可能なものにする。そこで様々な事業者が提携することで、販売プロセスも変化し、製造の抑止力ともなるだろう。FAKE BUSTERSの世界進出、さらなるシステムの発展によって安心してファッションが楽しめる世界となることを期待したい。

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