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Amazonが高級ファッション販売に参入?独自プラットフォームを準備中

ファッション業界誌WWDによると、2020年前半を目処に、Amazonはラグジュアリーファッション向けの独自プラットフォームを立ち上げる予定だという。

Amazonがオンラインの百貨店に?

WWDが独自に業界関係者に聞いた話によると、Amazon独自のラグジュアリーファッション向けデジタルプラットフォームは、コンセッション方式に近い形で行われる。つまり百貨店のテナント入居のように、ブランドが場所をリースで借りるか、売上の一部を百貨店に払うといった形式が想定されている。

そのため従来のAmazonのショッピングフォームとは異なり、ブランドがより詳細にオンラインストアを管理できる。ページのデザイン、商品の販売時期、割引率といった要素を各ブランドの裁量で決定できる。

同時に、ブランドはAmazonの広大な物流ネットワークも利用可能に。迅速な配達網と、利便性の高いカスタマーサービスを利用できるという。

すでに、約12のブランドが連携していると言われているが、ブランド名は非公開。最初にアメリカで展開、その後、グローバルに拡大予定だという。

Amazonはこのプラットフォーム用にアリゾナ州に倉庫を建設、約1億ドル(約110億円)のマーケティングキャンペーンに取り組む予定だそうだ。このプラットフォーム構想は未だ公式には認められていないが、実現すればファッション販売のシェアを大きく変化させそうだ。

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Image Credit : Amazon

増加するAmazonのファッション投資

Amazonは現在、アメリカで最大のファッション販売業者となっている。

また日本でも、ファッション関連の投資を増やしている。2018年3月には、世界最大規模の撮影スタジオをAmazon Fashion専用に品川にオープン。2018年10月にはPrime Wardrobeという試着サービスを開始、ファッションアイテム購入の利便性を高める取り組みを行なっている。

またTokyo Fashion Weekでは、2019年秋冬シーズンまで6シーズンにわたりスポンサーを勤めた。最近だと、2019年10月に各国の人気ファッションインフルエンサーがデザインした限定アイテムを販売する「The Drop(ザ・ドロップ)」で鈴木えみを起用、大きな話題となった。

ラグジュアリーブランドの要望に、どう応える?

これまで、Amazonはファッション販売に不向きであった。Amazonは比較的容易に出品できることから、第三者による販売や偽造品も多い。そのためBIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)や、最近ではNikeがAmazonでの自社製品販売を取り止めた。

またAmazonの品揃えの多さは、ファッションアイテムが洗剤や飲料といった日用品と同じサイト内で売られることを意味する。イメージや世界観を重視する高級ブランドにとって、好ましい販売場所ではなかったのだ。

今回のラグジュアリーファッション向け独自プラットフォームの構想は、Tmallの施策と近いとも言われている

アリババが運営するTmallは、Amazonと同様に日用品を売りながらも、高級ブランドの誘致に成功。Luxury Pavilion(ラグジュアリーパビリオン)という、日用品のポータルサイトから切り離した高級ブランド専用のプラットフォームを開設、カスタマイズ可能な範囲を増やし、ブランドのイメージや世界観を保てるようにした。

昨年、Amazon Prime会員が1億人を突破したことを発表し、高所得者層の会員が多いというデータもでているAmazon。今回の構想が本当に実現するのか、そしてファッション業界全体にどんな影響があるのか、注目だ。


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