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Z世代向けバーチャルコンテンツ発信の開拓者「SPINNS」、その取り組みを総まとめ

ファッション業界においてもVR/ARの活用は進み、「あつまれ どうぶつの森」ブームで一気に注目を浴びた。そのなかで、コロナ以前からバーチャルコンテンツをPRに積極的に取り入れてきたのが、若い男女に絶大な人気を誇る「SPINNS(スピンズ)」だ。積極的にバーチャルモデルの起用や、3Dアバターの活用などを行ってきた。

そこで今回は、SPINNS事業部広報担当の宮崎さんに話を伺い、これまでのバーチャルコンテンツ施策を振り返りながら、今回、新たに発表された3Dアバターアプリ「ZEPETO」内でのブランドアイテム発売、公式のバーチャルVTuber「紡ひなた」公開の経緯に迫り、バーチャルコンテンツを活用したPRの可能性を探究してみたい。

ユースカルチャーとバーチャル文化

「SPINNSはずっと、『ユースカルチャー』をアパレルブランドとして発信する取り組みを続けてきたブランド」と、宮崎さんは語る。そしてxRを活用したPRも、「今の時代に生きる若者に新しくて面白いカルチャーコンテンツとして「アバター/ヴァーチャルモデル」をピックアップし、SPINNS風に表現しています。」とのことだ。

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これまでも、ギャルバーチャルモデル・「葵プリズム」を起用した「NEO渋谷センター街パーカー」や、世界初のバーチャルシンガー「YuNi」とのコラボレーションアイテムを発表といったように、積極的にバーチャルを絡めた施策を行ってきた。20AWの秋新作アイテムも、5名のバーチャルVTuberがイメージビジュアルを飾っている。

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自社VTuberも活躍!「紡ひなた」

この新作ビジュアルのセンターにいるのが、2020年5月にデビューしたSPINNS公式のバーチャルVTuber「紡ひなた」だ。開発の経緯は、以前から協業関係にあったSHOWROOM株式会社から、『企業Vtuberプロジェクト』の提案があったそうだ。取り組みを進めた理由として、「SPINNSは様々なカルチャーを取り込みながらブランドPRや商品販促を発信していくブランドですので、「VTuber」というカルチャーにもトライしていきたいと思い、2社で進行いたしました。」と語ってくれた。

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キャラクターデザインは、SPINNSのブランドコンセプトである「ATTITUDE MAKES STYLE!!(主張がスタイルをつくる!)」を体現させることを意識したのだという。「紡ひなた」もブランドのメインターゲットである高校生であり、元気で活発な性格で、SPINNSで実際に販売しているアイテムをシーズンごとに着こなしているのも要チェックだ。

「紡ひなた」の活動は現在、SHOWROOM配信、SNS、YouTubeがメインとなっているが、「今後はリアル店舗に登場し、接客販売イベントを開催したり、ファッションショーへの出演なども視野に入れています。」という。また、「今後、企業VTuberが増えていけば、なかなか実現が難しかったVTuber基軸での企業コラボレーションもできていくと思いますので、そちらも積極的に行っていきたいです」と、さらなる活躍への期待も語ってくれた。

「ZEPETO」内でバーチャルアイテムを販売

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さらにSPINNSは、2020年8月より3Dアバターアプリ「ZEPETO」において、バーチャル内でブランド商品のデジタルデータ販売を開始した。データは、現実の店舗でも人気なセットアップや、ニットベスト+Tシャツ、ファイアーパターンTシャツなどが販売され、アプリ内通貨で1つ3Zem(120円で14Zem)で購入できる。

「今年人気となった『あつ森』のように、『アバター用衣装』が若者に流行った事例もあり、ZEPETOで展開しているブランド衣装のデータ販売に注目し取り組みをスタートいたしました。」と、開発の経緯を語る。そして、「あつ森」など色々なプラットフォームが話題となるなか「ZEPETO」を選択した理由としては、「SPINNSターゲット層にリーチしていくのはまだこれからだと思いますが、Vtuberと同じくティーン層で見ると「アバターコンテンツ」もまだまだ成熟していないカテゴリーなので、新しいチャレンジやトライをしやすい、話題にしやすい」ことが、メリットとしてあるという。

特にデジタル化して販売されるアイテムは、SPINNSらしいグラフィカルなアイテムが多い。アイテムの選定については、「初期リリースはブランドらしさを出したかったので、ストリート要素のあるアイテムや派手なアイテムを選定し展開しました。リアルでは普段着ることに抵抗や勇気が必要なアイテムもアバターならとトライしやすいのが面白い文化だと思います」と語ってくれた。

これらのバーチャルプロダクトは、SPINNS内のエンジニアとデザイナーで制作されているそうだ。それによって、最新アイテムをクイックにデジタル展開することを実現している。一方で、プラットフォームによってはディティールの再現が難しく、複雑なシルエットやフォルムのアイテムだとデジタル化が難しいという課題も教えてくれた。

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エンタメ感のあるファッションプロダクトを楽しみ、大きな問題の解決へ

このような積極的なバーチャルコンテンツのPR活用を展開する意図について、「まだまだ「アパレル」と接点の薄いコンテンツなので、話題作りや提案がフレッシュに映ることがメリットだと感じています。逆にヴァーチャルコンテンツは一般認知として若者には浸透していないものなので、どうやって楽しんでもらうか、身近に感じてもらうかが課題だと感じています。」とその期待と課題を語ってくれた。

実際、ブランドのファンからの反応を聞くと、「正直、自社顧客にはまだまだ浸透していない感じはあります。各プラットフォームのユーザー界隈で話題や商品の購買が動いています。ただ、商品も実売しているので、新たな購買層として今まで来店や購買をされなかった客層への入店きかっけにはなっている実感があります。まずは知っていただくこと、そして面白さや新しさを体感してもらうことがブランドの使命だと感じています」と課題と同時に、新しいファン層の開拓への可能性への期待も語ってくれた。今後しばらくは、このようなZEPETOでのバーチャル販売や、現在取り組んでいるプラットフォームの展開を継続して続けていく予定だそうだ。

最後に、SPINNSが目指すファッションとバーチャルコンテンツの未来についてこんなコメントを頂いた。「アパレルブランドとして、『データ化』された製品をキャラクターが着用し、ファンユーザーや顧客にアプローチしていくことで、サンプル商品を生産しなくても視覚化できることに新しさやスピード感を感じています。今後、アパレルとして課題にあがる『生産過多での不要在庫』が地球環境に及ぼす影響も視野にいれ、サスティナブルとテクノロジーの融合にとりくみ、受注販売やリサイクル・アップサイクルにテクノロジーをMIXした『エンタメ感』をSPINNSで編集し取り組んでいきたいと感じています」。

SPINNSは現代のユースカルチャーの発信者として、バーチャルコンテンツも積極的に起用してきた。結果、ブランドを知ってもらうきっかけとなり、SPINNSらしい「エンターテインメント」としても展開されていた。このような先駆的な取り組みは、今後、他のブランドや業界全体がxR技術を活用していくうえでも重要な先行例となるだろう。今後も、バーチャルコンテンツの開拓者としてのSPINNSに要注目だ。

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