見出し画像

超高速オンデマンド生産サービス「Choosy」、AI活用でSNS上の”ほしい”に応える

Instagramでインフルエンサーのファッションをチェックし、購入したいと思うことがあるだろう。実際、インフルエンサーの投稿に「どこのブランドですか?」とコメントする人や、投稿に付けられたタグからブランドアカウントをチェックする人は多い。

そんな、インフルエンサーが着用したアイテムを購入したい人に向けたサービスChoosy(チュージー)が2018年7月に登場。InstagramとAIを活用してデータを集め、インフルエンサーのファッションを解析、デザインされた商品を受注販売するサービスだ。注文から48時間以内に生産、4週間以内に配送という超高速オンデマンド生産を実現している。今回は、Choosyの仕組みと解決する課題について紹介していく。

高速生産、高速販売の仕組み

画像1

Image Credit : Choosy

Choosyは、マサチューセッツ工科大学(MIT)を卒業したJessie Zengが創業。中国のファッションブロガーが、自ら生産から配達までのサプライチェーンを手配し、D2Cでアパレル商品を販売していることに着目してサービスを始めたという。2018年5月には540万ドル(日本円約5億8800万円)の資金を調達し、注目を集めた。

Choosyの特徴は、AIを活用してインフルエンサーのファッショントレンドを分析。そこからデザインされた商品を、短期間の受注販売で迅速に生産、安価で提供することだ。

Choosyには、「スタイルスカウト」と呼ばれるキュレーターチームがおり、SNSで流行っているファッションスタイルを参考に、毎週10種類の新製品を販売する。このキュレーション段階でAIが活用されており、ハッシュタグ「#GetChoosy」を付けたインフルエンサーの投稿、人気のインフルエンサーの投稿を解析する。その結果を参考に、スタイルスカウトが10種類のスタイルを独自でデザイン、製作するという流れだ。

ユーザーは10種類から好きな商品を選択、事前予約を行う。予約期間はたったの3日間、注文が一定数を超えたものが生産に入り、48時間以内に社内で製造、通常商品は2週間以内、特注の生地を使用した商品でも4週間以内に配達される。自社で生産から製造まで行うため、価格も50〜100ドル(日本円約5,500〜11,000円)と手頃だ。

2018年1月には、人気ファッションモデル姉妹のGigi Hadid(ジジ・ハディット)とBella Hadid(ベラ・ハディット) で市場テストを実施。Gigi HadidがInstagramで紹介した「パールが散りばめられたダメージジーンズ」に購入場所を尋ねるコメントが多いことに着目し、似たような商品を低価格で販売したところ、4時間で1万件の注文がきたそうだ。

Choosyが解決すること

Choosyは3つの課題を解決する可能性がある。ひとつは、SNSで好みの服を探し続け、時間を浪費してしまうという問題だ。ユーザーは毎週最新のトレンド情報を入手し、そのまま購入することができるのだ。

また、インフルエンサーの着用アイテムは高額で、手が出しづらいという問題もある。Choosyは自社生産のため、低価格を実現している。

そして最後が、過剰生産による在庫廃棄の問題だ。低価格でトレンドの商品を販売するためは通常、大量生産が必要となり、売れ残り在庫が発生してしまう。Choosyは受注生産のため、無駄な生産を抑制できるのだ。

画像2

Image Credit : Choosy

AIとInstagramを活用し、D2Cモデルにより低価格でトレンドアイテムを提供するChoosy。単にトレンドを押し付けるのではなく、一般ユーザーの“ほしい”に応えるサービスになっている。

D2Cのビジネスモデルが増加している現在、最先端のテクノロジーを活用し、ユーザーのニーズを瞬時に拾い集め、高速で満たす競争が加速していくのかもしれない。


ーーー

ZOZO研究所では、ファッションに関する研究を行っております。
ZOZO研究所に関してはこちら