バーチャルフィッティング「FXMIRROR」、オフライン再興の鍵となるか
ニュースサマリ
2018年11月15日、韓国のAR/VRテクノロジーの制作会社であるFXGearがアバターを使ったバーチャルフィッティングができる「FXMIRROR」を発表した。初期の機能はARを使用して服をユーザーに投影していたが、今回はアバターを使った新しい試着機能が追加された。メリットとして挙げられているのは、ユーザーの表情と身体の動きをリアルタイムで反映されるため、着用している自分を客観的にみることができるということである。
Fashionable Technology: FXGear Introduces the Next-Generation Virtual Fitting Solution Using an Avatar
via Newswire
話題のポイント
ここ数年、いくつかのブランドや商業施設などでバーチャルフィッティングミラーの導入やイベントが開催されてきました。
日本で行われた例としては、GUの次世代型店舗「GU STYLE STUDIO」が記憶に新しいでしょう。
GUでは、その場で撮影した顔写真をもとにオリジナルアバターを作ることができ、様々なアイテムを試すことができます。またアイテムに付いているQRコードを読み取れば、オンライン上での購入も可能です。
では、FXMIRRORとGUのバーチャルフィッティングはどのような違いがあるのでしょうか?
GUでは、どのユーザーでもアバターの顔にほとんど差がなく、髪型や体型が選択できない点、表情や動作の反映がなされていない点など、試着体験の再現率の低さが課題として挙げられるでしょう。
一方FXMIRRORは、表情や動きを細かく反映してくれる上、髪型も数種類から選ぶことができるので、より自分に近いアバターを作成することができます。服選びにおいて、髪型や顔との相性は非常に大事なものなので、より試着体験を現実的に感じることができるでしょう。
Image Credit : Youtube by FXGear
今後もFXMIRRORの機能が向上し、着用した時の生地のシワ感やサイズ感が、体型や動きに合わせて再現されれば、実際の試着体験と変わらないクオリティとなると予想されます。そうすれば再現性の低さからバーチャルフィッティングをためらっていた店舗への導入にも繋がるのではないでしょうか。
Image Credit : Youtube by FXGear
またアバターに関しても面白いデータがあります。オンライン上の仮想試着サービスであれば、アバターに着せ替えをする楽しみが購買にポジティブに働くというものです。[1]
こう考えるとアバターを実店舗に導入しても、購買にポジティブな影響が与えられそうです。
もちろんオンラインかオフラインかの違いによりユーザーが求めるもの(サイズ感や生地感など)は違いますが、今回の「FXMIRROR」であれば表情や着用感の再現性の高さから受け入れられる可能性も高いでしょう。
最近はECの発達により、実店舗への客足が急激に遠のき売り上げが下がっていると言われています。このようなバーチャルフィッティングなどのサービスを上手く活用することで、話題性・機能性共に実店舗への集客に繋がり、オフラインへの入り口となっていくでしょう。
[1]産研シリーズ(ダイレクト・マーケティング研究ー海外ジャーナル抄訳集5ー), 44 , 2009, pp. 3-20.
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