【潜入レポ】EC時代の新たな店舗スタイル、「Nike House of Innovation 上海 001」とは?
2018年10月に中国・上海にオープンした「Nike House of Innovation 上海 001」。
Nike店舗の新コンセプトとして生まれた「Nike House of Innovation」は、デジタルとリアルが融合した店舗体験を楽しめる空間となっており、上海に続いてアメリカ・ニューヨークにも店舗がオープンしています。
実際にどんな体験ができるのか、今回は中国・上海まで足を運んでみました!
スタイリングサービス・体験ブースが豊富
「Nike House of Innovation 上海 001」は、ユーザーひとりひとりに合わせたサービスが豊富で、実店舗ならではの価値を提供しているのが印象的です。
Image Credit : Nike
「Nike Expert Studio」では、事前予約もしくは店頭予約をすることで、スタイリストから1対1の特別アドバイスをもらえます。好みや条件を伝えると、それに合ったスタイリングを提案してくれるそうです。
他にもオリジナルスニーカーを作れるブースがあり、製造過程を見ることもできました。ライブ感があり、ユニークで魅力的な体験でした。
また、店舗内にはバスケットボールゲームが楽しめるスペースや、スニーカーの耐久性やパーツについて学べるブースもありました。ゲームや展示を体験・鑑賞しながら、Nikeについて深く理解できる空間となっていました。
WeChatミニプログラムとのシームレスな連携
中国ならでは……!と感じたのは、WeChatミニプログラムへの導線が店舗内に設置されていたところです。
WeChatミニプログラムとは、2018年には1日あたりのアクティブユーザーが約2億3,000万人を達成するほど中国では一般的なSNSです。
購入が目的のECと違ってブランドの様々な情報が得られるので、絶大な人気を誇っています。
QRコードを読み込むと、WeChatミニプログラム上の店舗のサイトへ遷移します。店舗でのイベント情報や、オススメ商品をみることもできました。
WeChatミニプログラムからECサイトへのリンクもあるので、家へ配送してほしい、あとで買いたいといった場合は、ECサイトから購入できるのが便利だと感じました。
このように、オンラインとも連携しながら店舗で商品やブランドについての理解を深め、購入についてはユーザーに合った選択肢を提供してくれる工夫が、ユーザーファーストでとても良いと思いました。
現代における実店舗の価値とは
中国ではオンラインやオフラインを分けて考えるのではなく、状況に応じてユーザーへ最適なチャネルを提供するOnline Merges with Offline(OMO)が主流となっています。
「Nike House of Innovation 上海 001」では店舗からオンラインへの導線をうまく作ることで、ユーザーファーストな購買体験を提供するのに成功していると感じました。
また、美しい店舗デザインや商品の陳列、スタッフとのコミュニケーションによって、ブランドの世界観に触れ、商品や着こなしに対する新しい発見を得ることが実店舗の価値として挙げられます。
そのため、ゲーム性が豊富な体験を重視した空間やスタイリングサービスの提供によって、店舗滞在時間を増やし購買意欲を促進する仕組みはさすがだと感じました。
日本国内でも、実店舗とECの関係性について多様な取り組みがされていますが、オンラインとオフラインを切り分けて考えるのは、提供側の都合で議論されることも多いかと思います。
圧倒的な顧客目線で購買体験を考えることが、今後のファッション小売業界の鍵になっていくでしょう。
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