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Google・Alexa連携、音のARグラス「Bose AR」ーARデバイスの担い手になれるのか

ニュースサマリ
2019年1月、BoseはBluetoothとスピーカーを内蔵したサングラス「Frames」を、199ドル(日本円で約22,000円)で発売することを発表した。世界初である音声を使ったAR(拡張現実)機能「Bose AR」に対応するのが特徴で、Framesに搭載された頭の動きを捉える9軸のセンサーと、接続先のスマホのGPSを活用して、現在地に合わせた情報を音声で受け取ることができる。イヤホンを利用せず、メガネのつる部分に組み込まれたスピーカーから音声を受け取れる構造となっている。GoogleAssistantやAlexaとの接続も可能。約2時間の充電で音楽再生時は約3.5時間、スタンバイ時は最大12時間の駆動を実現している。

The Bose Frames audio AR sunglasses can be yours in January
via WAREABLE

話題のポイント
Bose ARは、今までのスマートグラスと比較しボイスアシスタントでの道案内が可能でありながら、デザイン性も非常に優れている商品です。

スピーカーなど「音」に特化した商品を生み出してきたBoseが、音のARに挑戦したことは不思議ではないでしょう。寧ろ、黒を基調とした高級感のあるデザインが特徴の商品が多いBoseだからこそ、このスマートなデザインのARグラスが誕生したと言っても過言ではないでしょう。

他社のARグラスでは、機能部分がフレームに装着されていて大きく日常で自然に使用するには少し抵抗がある印象ですが、このARグラスはデバイスが内蔵されており、フレームも薄く普通のサングラスと何ら変わらないデザインとなっています。
日常的に使いやすいデザインは、一般消費者にARグラスを普及させるための重要なポイントと言えるでしょう。

Image Credit : Youtube by Bose GlobalPressroom

また、目で見ることにフォーカスしている他社のARグラスとは違い、耳から入ってくる情報や体験を拡張するという点が画期的であると言えます。

カメラがないため、GPSを利用した位置情報機能と、モーションセンサーによるユーザーの進行方向の特定を可能にしています。
そのため、建物の名前や営業時間などの情報を音声で取得することができ、音声コマンドやジェスチャーによって操作ができるので、スマホを利用することが難しい高齢者や障害者の方でも操作することができそうです。

Image Credit : Youtube by Bose GlobalPressroom

しかし、ペアリングしたスマホのGPSで場所を認識し、進行方向を読み取っているだけでは、ARグラスと呼ぶには少し弱い部分もあるのではないでしょうか。

日本でも、OTON GLASSというスマートグラスが既に開発されています。

Image Credit : Youtube by FUJITSU Japan

OTON GLASSは、搭載されたカメラで撮影した写真をクラウド上にアップロードし、画像認識エンジンで写真に含まれる文字を音声に変換して再生するというものです。
障害によって文字を読むことが困難な方に向けて開発されたプロダクトとなっています。

文字の読めない障害者の方だけでなく、一般ユーザーにとっても需要があるのではないでしょうか。
例えば、目に映る文字を翻訳して読み上げてくれるなどの機能がつけば、海外旅行での買い物やコミュニケーションにも活用することができそうです。

このように、今後スマートグラスの発展を目指すのであれば、視覚的な認識機能をつけること、が必須となってくるのではないでしょうか。

Image Credit : Youtube by Bose GlobalPressroom

決まった情報だけを現実空間に投影するだけでなく、自分の状況や周りの情報を視覚・聴覚ともに拡張することで、ユーザーの体験をもっと豊かなものにできるのではないでしょうか
視覚と聴覚のどちらにもアプローチをかけることが、ARを普及させる鍵になるかもしれません。

AR技術の認知が少しずつ増えてきた昨今ですが、未だに体験型店舗やゲームでの活用が多く、日常的に利用するものとは言えないのが現実です。ウェアラブル端末に導入されることで、よりARが気軽で身近な存在になるかもしれません。