AIデザイナーのブランド「Glitch(グリッチ)」、MITから誕生
世界初のAIがデザインを手掛けるファッションブランド「Glitch(グリッチ)」が2018年にMITで誕生した。
MITの卒業生であるPinar YanardagとEmily Salvadorが手掛けるGlitchは、AIの生成技術、GAN(敵対的生成ネットワーク)を活用して100個のドレスデザインを生成し、実際に販売を行っている。
AIがデザインを作成するアルゴリズムは?
日本や中国を始めとしてAIがファションデザインをした例はいくつかあるが、実際に販売された例は数少ない。Glitchはどうやって販売できるほどのデザインをAIに作成させたのだろうか?
Glitchのデザイン作成手順は以下の通りだ。
まずAIに約30,000個のドレスパターンを学習させ、数千の縫製パターンをランダムに生成させる。その後、人がいくつかのデザインを選択し、布や他の材料を選ぶことで最終的にドレスをつくりあげているのだ。
つまり、デザイン画・パターン作成はAI、素材などのディテールデザインは人が行っているということになる。
デザインの生成に利用されたAIアルゴリズムは、2018年アメリカのAIメーカーNVIDIAが開発したStyleGAN。StyleGANはGANのなかでも画像合成の過程をコントロールでき、この世に存在しない人の顔や猫、風景などのフェイク画像を生成できることで有名だ。
Image Credit : NVIDIA
MITで活動していたPinar YanardagとEmily SalvadorはAIが、ピザのレシピ、歌、香水、脚本、ウイルスなど何でも生成できることに着目してファッションにAIを活用できる可能性を見出したという。
AIが作成したドレス
Image Credit : Glitch
実際にAIが制作したドレスは左右非対称であったり、色使い、袖口にかけて広がるデザインなど一風変わったものばかり。人間が既につくったデザインを読み込んでいながらも、人間のデザインとは一味違ったデザインが生成されている。
既に100種類ほどのAIデザインのドレスを生産しているが、今後は個々の顧客の好みに基づいてパーソナライズされたドレスを作成できるようにしたり、自分のデザインを生成してアップロードし、他のユーザーからフィードバックをもらえたりするようにするという。
We have our creativity, our emotions, our experiences as a human being. So combined with this AI-powered creativity, I think the future is very exciting. We can work with AI as collaborators, not as competitors.
私達は創造性、感情、経験があります。それらがAIの創造性と組み合わされば、未来はとても面白いものになるでしょう。私達とAIは競合ではなく、共同できるのです。
Yanardagは上記のように語っている。
デザインをAIに任せるというと、ファッションデザイナーとAIの関係に注目されがちだが、一般の消費者にもメリットがある。
パーソナライズされたデザインを着られるというのは、AIとのコラボレーションならではの新しい体験になるだろう。そしてより身近にAIを感じられ、違和感なく自然と生活に取り入れていくことができるだろう。
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