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「毛髪」を素材にニットウェアをつくるスタートアップ

Human Material Loop(ヒューマン・マテリアル・ループ)は「テキスタイル産業に革命を起こすこと」を使命に、2021年に設立されたアムステルダムのスタートアップだ。

同社は提携先の美容室から廃棄された人の髪の毛を回収、加工し、高性能な糸とテキスタイルを開発する。毛髪は産業革命以前は靴下や靴などの繊維製品やロープなどに活用されていたものの、それ以後は素材として使われなくなった歴史を持つ。

しかし、毛髪は動物性のウールと似通った性質を持つことから、創業者のZsofia Kollar(ゾフィア・コラー)は、毛髪がテキスタイル産業を取り巻く問題に取り組むポジティブな可能性を持っていると考えているそうだ。今回、創業者のゾフィアに同社の設立背景と毛髪のイノベーションについてインタビューを行った。

① 歴史の中で拒絶された素材を使う

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私はコンセプチュアル・デザインの背景を持っており、特定素材に対する視点や認識を変えることを目的にデザイン活動を行っています。リサーチをしているうちに、毛髪にとても魅了され、毛髪がいかに世界のあらゆる地域の文化の一部であるかを認識しました。しかし、私たちは素材としての毛髪を拒絶してきました。

そこで、この認識を改め、繊維産業に素材として利用してもらうためにはどうしたらいいかを考えるようになりました。

② 髪の毛を使用する利点

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繊維産業の二酸化炭素排出の要因は、栽培・収穫・土壌の使用によるものですが、髪の毛を利用することはそれらをすべて断ち切ることになります。

ですから、毛髪を利用することは、農薬を必要とせず、土壌を劣化させず、水を汚染せず、カットされるまで各個人が面倒を見ます。つまり合計すると、繊維産業全般の素材工程で作られる公害やエネルギーの約70%の削減が可能になります。

また、毛刈りのような加工を必要とせず、例えば、誰かがヘアサロンに行き、素敵な髪型にしてもらうと同時に、私たちはその廃棄物を繊維製品に利用するというウィンウィンの関係を実現することができるのです。

③ 今後のビジョン

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3年後には国際的に施設をいくつか設立し、人間の髪の毛からテキスタイルを生産する体制を整えたいと考えています。さらに5年以内には、人毛でつくられた衣服を他の製品と同じように普通に着られるようにしたいですね。

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