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世界初!3Dプリントxファッションxコミュニティを掛け合わせた新サービスに注目(後編)

2019年10月、世界初の3Dプリントファッション・オンラインプラットフォームSeptem(セプテム)(以下「Septem」)がスタートし、ファッションテック業界で注目を浴びている。今回は後編として、運営会社のFRev Co.,Ltd.代表取締役社長の井出亜貴子氏に国内外の反応や今後の展開に関して話を伺った。

【プロフィール】
井出亜貴子
東京大学卒業。ライターやファッションモデル、フリーの翻訳者などを経て、2019年2月FRev Co.,Ltd.を設立。

「まず実物を見て欲しい!」

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ー韓国からアクセスが多かったとお話がありましたが、それはデザイン面で興味を持って、ということでしょうか。

おそらくそうだと思います。韓国のファッションは派手め、強めなものやカラフルなものが多いことと、あとはストリートの文化があるので、弊社のデザイナーさんのストリートファッションとモードのかけあわせのようなデザインにおそらくはまっているのではないかと思います。

実際ソウルに行ってみて感じたのが、坂道や傾斜が多いためか、スニーカーかローヒールの靴をはいている方が非常に多かったんです。ですからスニーカーの上にファッションを構築するとなると、ストリート色が強いものになるんではないかと。あとは気候の条件として日本よりもからっとした空気なので、派手な色が映えるんですよね。その経験から「韓国からのアクセスが多い」という結論に達しています。

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Image Credit : FRev Co.,Ltd.
レッド・ドット・デザイン賞の受賞歴もあるEdward Harberの作品

ー国内でのリアクションに対してはどういう印象をお持ちですか?

国内はどちらかというとビジネスサイドからのリアクションが多いです。実際に購入したい人というより「面白いスキームのサービスだな」などと感じられているんだと思います。プレスリリースを出したときは約30社くらいに取り上げていただきました。また、Instagramからの流入よりもFacebookからの流入の方が断然多いんです。男女比も男性の方が若干多く「ビジネスモデル」として興味を持って調べてくれているのだと考えています。

ーそういう意味では今後の事業展開も周囲から期待されていると思うのですが、現段階で今後力を入れていきたいところはどのあたりですか?

直近では登録デザイナーを増やしたり、面白いデザインを作っている人達をつかまえてくることと、あとはPRですね。今度韓国のファッションウィークにもイベント出展を検討していますし、スウェーデンで活動しているデザイナーがいるので、その方のサポートでストックホルムのファッションフェアにも出展します。お客さんがいるところであればどこでも売りにいく姿勢は持ち続けていきたいですし、たとえばそういうお客さんに売りたいデザイナーさんもどんどんつかまえていくのが直近の目標です。

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また、今後洋服や他のアイテムを扱うというときに、やはり素材の問題やプリンターの大きさの問題などいろいろと課題が出てくると思いますが、それはまた次の段階ですね。それから3Dプリンターをバラまくというのもまだ手をつけられないところなので、次の段階です。

弊社はプリンター屋さんでも素材屋さんでもなく「こんなことができる」というデータベースの機能ですので、プリンターや素材の技術力となると、弊社のみで完結することではなくなってしまいます。とりあえず今は、デザインとそのデザインを元にプリントした製品が欲しい人を結ぶ「マッチングプラットフォーム」と考えています。

ーというと展開していくのはやはりECがメインになるのでしょうか。

そうですね、世界中に実店舗を持つことは現時点では考えづらいので、現状は、オンラインで注文を受けたものを届けます。ゆくゆく先の将来では購入者本人が3Dプリンターがある場所にピックアップしにいく、いうのは考えています。

とにかく初期段階は、実物をまず見てもらわないと軽さや複雑さがわからないし、どうやってどのコーディネートに合わせようなどもやはり実物見た方がわかりやすいと思うので、イベントやポップアップを行って強化をしていきます。

ファッションとテック、違う言語を「論理」で結ぶ

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ーデザインの強化という部分で、テイストのバリエーションだけでなく、アクセサリー以外のアイテムのカテゴリも増やしていくのでしょうか。

たとえばクラッチバックであればちょっと固めのものもあるので現実的に扱えると思ってますし、今いるデザイナーでも着手している人もいます。それからネイルチップをアクセサリーの一部にするということも考えています。ジェルネイルをすると同じ色・デザインのものを3週間もつけているということになりますが、たとえば今日着たい服と明日着たい服の色味やテイストは違うし、昼につけたいものと夜につけたいものは違うかもしれないので、気軽に取り外しができる方が良いのではと思って、ネイルをアクセサリーの感覚でやってみたいとは思います。

ー昨今話題のファッション×テックのかけ合わせの中でもプロダクトメインでやられているサービスは珍しいと思いますが、井出さんは日々どのようなモチベーションで「Septem」を進めているのでしょうか。

そもそも私はアパレル業界の人間ではないので、逆にいうとファッションの固定概念が一切ないからこその発想になっているんだと思います。また、海外の人達とのやりとりが多いので「いろんな人がいろんな考えを持っている。私は私でいいよね」という想いがありますね。

ーファッション×テックの方面のどのようなところに課題があると感じていますか。

やはり「ファッション」と「テック」の両方の知識をもっている人は非常に少ないと感じています。たとえばファッションはどちらかというと「文化」や「社会」といった文系的な発想が強くてテックは「論理」という話になってくると思うんですが、実際はファッションもテックも論理だと思うんです。

なので両方をきちんと論理的に考えられる人が必要なのかなと思っていて、ファッションがなぜこのデザインになったのかとか、どんな文化を反映したかというものが必ずあるはずなんです。そこをきちんと言語化して、論理に落とし込み「可視化」することが課題だと思うのと、その「調整役」がこれからかなり重宝されると思います。違う言語でしゃべっているわけですから、そこの調整をするだけで物事が運ぶというか。

ファッション×テックのコミュニティーを作る

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ー「Septem」はそのような形になってますよね。作り手とお客さんをうまくつないでいるのだと思います。

おそらくですけど、ファッションとテックが同時に発生しているコミュニティーを作っているというのはあるかもしれませんね。「Septem」はデザイナーと尖ったものを買いたい人を結ぶというのが最初のコンセプトでしたが、ひとつのアクセサリーを好きな2人のお客さんが全然違うバックグラウンドの2人だったりするわけですね。そこで「これいいよね!」でコミュニケーションがとれたりすると。一人はファッションが好きでもう一人はテックが好きだけど、同じものを気に入って購入しているとか、共通言語が得られるのかなと思いますし、それらは財産になるのかなとも思っています。


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ZOZO研究所では、ファッションに関する研究を行っております。
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