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西陣織の技術がIoTに:京都の老舗企業を時代の最先端に引き出した、魔法の糸と人。(前編)

1956年創業。西陣帯工場を祖業とする京都の老舗企業、ミツフジ。今、50回洗濯できるマスク「hamon AGマスク(ハモンエージー)」が話題を集めている。そもそも、銀繊維を使用した着るだけで体の状態が分かるスマートウェアを開発、独自技術で正確な生体データを取得・解析するIoTカンパニー。ファッションテックに早くから注目し、手がけてきた。今回、営業の最前線にいる女性社員3名と、プロダクトの指揮を取る若手役員に、ミツフジが西陣織の帯工場から最先端のIoTウェラブルカンパニーに事業転換した経緯と、現在販売されている製品、そして今後目指すべき方向について聞いた。

スマホでバイタルデータがチェックできる

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営業部 濱谷眞子さん

「フェムテック(FemTech)」という、女性特有の課題をテクノロジーで解決することを目指したテック分野がある。こちらミツフジでは、独自の技術でバイタルデータを採取し数値化。月経や妊娠、更年期、メンタルの症状などに活用できないか、と検証を始めている。

ーーこちらが今の濱谷さんの心拍数ですか?

濱谷眞子さん(以下、濱谷) :はい、これが自分のバイタルデータになります。

ーーストレス値の上下が可視化できるということですが、ご自身付けていて、どういう時に一番ストレスを感じていたでしょうか?

濱谷:会議中に自分が発言を求められた時とか、資料作成など締め切りに追われている時など、集中してカーッと脳がフル回転している時が高い傾向があります。

ーー計測はどのように?

徳永里奈さん(以下、徳永):いくつもの製品がありますが、「iBRA(アイブラ)」というブラジャー型ウェアラブルを着用し計測しています。肌側に弊社が開発した銀めっき繊維がついており、心臓から発する微弱な電気信号データを、前中央についている着脱式のトランスミッターがキャッチし、Bluetoothでスマートフォンに送られます。そしてデータを独自のアルゴリズムで解析して、ストレスや眠気といったバイタルデータを数値化して、体の状態が分かる仕組みになっています。

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ーー「女性社員はいつもこれを着用するように」という決まりがあるわけではないですよね?

河原桃子さん(以下、河原):決まりはありませんが、着心地が良いので普通に着ています(笑)。実は、ワコールさん、Peach様のCAさんと共同開発した働く女性向けのスマートウェアなんです。長年女性の体に寄り添ってきたワコールさんの開発商品ですので着心地が良いだけではなく、トランスミッターを着けなければ普通のブラと変わりません。それにこのようにストレス値が数値化されスマホでわかるというのは、見ていてとても面白いです。そのほかに心拍や眠気などもモニタリングできます。

ーーどんな経緯でこの商品が開発されたのでしょうか?

河原:弊社でも従来から女性用の商品を開発していましたが、プロの下着メーカーさんにご協力いただくことで、弊社の強みであるバイタルデータも取れ、なおかつ着心地や機能性に優れた製品が作れるのではと考えました。あとはワコールさんの持つ素晴らしいブランド力のおかげで、多くの方に知っていただくことができました。もちろん着心地は抜群の品質なので、お客様からもご好評いただいております。

Peach様には、客室乗務員のストレスを可視化したいというニーズがありました。そこで、CAさんの業務中に着用検証を実施したのです。

データをきっかけにセルフマネジメントから、組織の仕組みづくりまで貢献

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左・営業部 徳永里奈さん、中央・営業部 河原桃子さん、右・濱谷眞子さん

ーー実際にCAさんに着ていただき、面白い発見はありましたか?

河原:CAさんは、「感情労働」と呼ばれる心理的にストレスが大きくかかる仕事だと言われておりますが、やりがいを持ってモチベーション高く働いている方が多いのも事実です。それはアンケートで分かっていました。しかしバイタルデータを取ってみたところ、自覚していない負荷もかかっている、ということがわかりました。

ーー例えば、大阪に飛ぶ便はストレス値が高くて、福岡の場合は低い、など?

河原:便ごとにデータ取っていたら、可能性はあると思います。例えばPeach様ではないのですが、某航空会社の地上職の方で、とある便がすごく混んでいて、遅延が発生した時にストレス値がマックスになりアラートが出たのを見て、「だめだ、だめだ」という感じで、自分をなだめることができた、というお話は聞いたことがあります。

ーーストレス値が目に見えることで、何か変わったことが起きるんでしょうか?

濱谷:数値が高いと、ここでちょっと休憩を入れてみようかなとか、呼吸の仕方も吐く息を長くしてみようかなとか、セルフマネジメントする一つのきっかけになると思っています。風邪の場合だったら、熱があればお医者さんに行こう、というきっかけができますよね。それまで自分の感覚に頼ることでしか分かりづらかったストレスを数値化したことで、対処方法の選択が広がり、個人の行動変容の一つのきっかけになっていると思っています。

河原:Peach様は働き方改革を真剣にお取組みされており、会社へのロイヤルティやご本人の仕事に対するモチベーションが高いCAさんが、なかなか気づくことができなかったストレスや体調を可視化したことで、自分に合わせたより良いセルフマネジメントができるようになり、会社としては従業員の皆さんの現状把握ができたことにより、勤務シフトの最適化など職場環境改善をさらに推進していくとお聞きしています。

ーーありがとうございました。

女性目線で作られた「iBRA」は着心地もよく、普通に生活しながらさりげなくバイタルデータを取ることができる。ストレスや焦りなど、本人が気づかないであろう細微な変化まですべてデータで可視化できてしまうのだ。もしかしたら、月経や更年期など、女性ならではの悩みを、このデータによって解決できる日も近いかもしれない。


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