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大人もハマる着せ替えゲーム。リカちゃん、ポケモンで広まるバーチャルファッション

デジタル技術の進化は、バーチャルドレスの登場などファッション表現手段を変化させつつある。

現在、SNSではリカちゃんをデジタル上で着せ替えできるリカちゃんメーカーや、ポケモンの新作ポケットモンスターソード・シールドの着せ替え機能が話題だ。これもデジタルファッションの広まりと無関係ではないだろう。今回は、今話題のデジタル上で着せ替えができるゲームを紹介し、新しいファッションの楽しみ方について考えてみよう。

ZEPETO

2018年にローンチされ、日本国内だけでなく欧米圏やアジア圏でも話題になったZEPETO(ゼペット)。ローンチ1ヶ月後には日本のApp Storeでダウンロード数1位を獲得、その後世界35カ国でも1位にランクインした。

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Image Credit : SNOW Corporation

ZEPETOでは、ユーザーが服装や髪型を自分好みにカスタマイズしたり、友人のアバターとの共演や、自分が持っている写真と合成することもできる。
これまでもアバターを着せ替えるアプリはあったが、ZEPETOが特徴的なのはSNSで認知が拡大した点だ。

SNS上では、ZEPETO内で購入できるファッションアイテムを身に纏った、自分独自のアバターの写真が数多く投稿され、世界中に拡散された。Instagram、TikTokの隆盛により、若者のコミュニケーション手段がテキストからビジュアルを介したものに変化しているなか、気軽に、かわいらしい分身で自分を表現できる、自撮りとは違う形で自己顕示欲を満たせるところが、SNS世代に受け入れられた要因かもしれない。

さらにZEPETOは、2019年2月にNikeと協業し、新作発売と同時にZEPETO内でもアバター用のNikeオリジナルアイテムを販売。これは、バーチャルでのファッションという新しい自己表現の手段を提示しただけでなく、リアルとバーチャルの両面からファッションの消費を盛り上げる施策であった。

リカちゃんコーディネートメーカー

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Image Credit : タカラトミー、花王

11月の公開以来、SNSで話題のリカちゃんコーディネートメーカー。専用サイト上で服や髪型、メイクを選んで自分だけのオリジナルのコーディネートのリカちゃんの画像が作成できるサービスだ。タカラトミーと花王が共同開発した。

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Image Credit : タカラトミー、花王

人気のポイントは、無限大のコーディネートの組み合わせ。花王によると、組み合わせは「32穣7950抒7268垓9074京4684兆1880億通り」と驚異的な種類が存在する。何より、着せ替えアイテムにはペンライトやチケット、スマホなど、定番のファッションアイテム以外にも様々なシチュエーションに対応したアイテムが多いのが特徴だ。

そのためTwitter上では、自分好みのコーディネートを作るだけではなく、芸能人やアイドルのコーディネートを再現した画像を投稿、シェアして楽しむユーザーが多い。アイテム数を多くすることで、自分を表現するためにアバターを用いるだけでなく、様々なキャラクターを作り上げ、「似ている、似ていない」、「こういう人いる」といったコミュニティー内で盛り上がるツールとして使われたのは面白い特徴だ。

ポケットモンスターソード・シールド

2019年11月15日に発売されたポケットモンスター最新作、ポケットモンスターソード・シールド。今までのシリーズでも可能だった主人公の着せ替え機能が、さらに解像度の高いリアルで、豊富な選択肢で搭載されている。

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Image Credit : Pokémon

今作では、服装やアクセサリー、髪型、まつげなど細かい着せ替えが可能。
アイテムは街にあるブティックで購入でき、街それぞれで売られている服が異なるため、ゲームの進行に合わせて楽しめる。

SNS上でも、今作のポケモンの着せ替え機能は話題になっている。特に主人公の写真が載るリーグカードというものがあり、コーディネートした主人公を画像として切り出せるため、SNSでシェアが容易なのもポイントだ。

浸透する着せ替えゲーム

今までも、着せ替えを楽しむことをメインにしたゲームや、着せ替え機能を搭載したゲームは存在した。しかし、今回取り上げたZEPETOやリカちゃんコーディネートメーカー、ポケットモンスターソード・シールドほどには話題にならなかった。

この違いを生んだ要因としては、解像度やカスタマイズ性の向上と、SNSの発達が大きいだろう。今までのゲーム内での着せ替え機能は、アイテムの作り込みや選択肢の豊富さが現在ほどの水準になく、限られたテンプレートから選んでいるような感覚があった。着せ替えデータの質的にも量的にも進化したことで、まるでリアルなファッション体験のように楽しめるようになったのだ。そしてSNSの発達は、アバターの着せ替えをゲーム内だけで楽しむのではなく、シェアして披露する自己表現の手段へと変えた。

アバターの着せ替えは、もはやゲーム好きな人々だけのものではなく、より多くの人が気軽に楽しむものへと変化しつつあるのだ。そのため、ZEPETOでのNikeの例をはじめ、多くのファッション企業がゲームに注目している
ファッションでの自己表現の方法が多様化するなか、ゲーム会社がファッションブランドを立ち上げるなど、より産業間の交流も進むかもしれない。

着せ替えゲームの流行からみる、ファッションの変化。今後もゲームを介したファッション表現に、注目していきたい。


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ZOZO研究所では、ファッションに関する研究を行っております。
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