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AI×ARで質感を忠実に再現する「NAIL HOLIC」のバーチャルネイル試着アプリ

コロナウイルスの影響下で、ファッションや美容においてはバーチャル試着の展開が推し進めている。しかしながら、コスメ分野では実際に肌や身体に使用した質感が重要であり、バーチャル試着への対応が難しい。イメージと違っても返品交換が難しい商品でもあるため、実際に試さないと不安だという人も多いだろう。

こんな課題と向き合ったサービスが、株式会社コーセーが発表したネイルのバーチャル試着アプリである。スマートフォンさえあれば簡単に、コーセーのネイルブランド「NAIL HOLIC」をバーチャル試着できるというものだ。今回は株式会社コーセー宣伝部 宣伝企画課の比毛 友美(ひけ ともみ)さんに話を伺った。

たくさんの商品バリエーションに対応

アプリ使用画面

コーセーのネイルプロダクトはもともと店舗を中心に販売されていたが、今回バーチャルネイル試着のサービス展開に踏み切ったのには、いくつかのきっかけがあったと比毛さんは語る。それは、①展開店舗数の多さと200色以上のラインナップのためテスター管理が出来ず、店頭テスターのご用意がない、②店頭什器用の色見本を、実際塗った色や質感へ近づけることに限界がある、③限定品や全色ラインナップを揃えられる店舗数に限りがある、といった3つの課題。バーチャルネイル試着を展開することで、場所やコストの制限なく自由に色のイメージを伝えることができるというわけだ。

今回のアプリでは、具体的には以下のような流れで試着から購入までを楽しむことができる。

チュートリアル_04のコピー

爪の正しい認識のための開発努力

このように簡単なステップで試すことができるわけだが、今回のアプリの一番の特徴は、爪を認識するためのAI機能と、爪に選択したネイルの質感を表現するAR機能を駆使し、自分の爪にぴったりと重なるリアルな体験ができるところだ。この開発は初の試みであり、様々な試行錯誤があったそうだ。

爪を認識するAI機能については、開発のための爪の写真サンプル集めに苦労したという。学習データとして顔の写真は数多く存在するものの、爪の写真サンプル、特にマニュキュアなどを塗っていない素の状態の写真はほとんどなかったため、開発はサンプル収集から始まったそうだ。収集数は実に数万枚にも及び、開発期間は実に9ヶ月に及んだ。

また、爪の形や5本の指を機械に認識させることが、一番難航した部分であったと佐藤さんは語る。爪と指の境目を正しく判断し、欠けている爪、怪我をしている指の識別や、ネイルアートをしている爪を認識するのに苦労し、開発を重ねたという。また、処理速度や解像度をキレイに見せるところも、開発で注力した部分だそうだ。

色や質感へのこだわり

このように正しく爪の形を認識した上で、そこに投影されるAR機能については、実際にマネキュアを塗った際の色や質感に近づけていくための努力が重ねられたという。

230色ほどの色を全てネイルチップに塗り、それぞれで塗った見た目とアプリ内での表示を近づけるための色校正を重ねたのだという。その中でも特にラメの表現は難しく、小~大粒ラメやパールの質感といった違いに注意しながら何度も開発を重ねたと、比毛さんは語ってくれた。

今回のサービスの主なターゲット層は20-30代がメインとのことだが、幅広い層から反響があるという。特にコロナ禍において店頭のテスターが使えなくなってしまったり、店舗で買い物をする機会自体が減ってしまっている状況の中、コスメのARサービスへのニーズはさらに高まっていくと考えられる。

今後も、基本的にはネイル中心に開発を進めていき、技術的な部分のブラッシュアップや、試着できるネイルブランドのラインナップの拡大などを展開していく予定だという。今後の展開にも大注目だ。

アプリ店頭pop


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