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VRでアパレルの廃棄問題を解決?Psychic VR LabのSTYLY

アパレル業界が抱える大きな構造問題のひとつに「廃棄問題」がある。

日本経済新聞によると、日本国内だけでも年間100万トンもの衣料品が廃棄され、焼却処分されているという。
毎年大量の衣料品が処分されていることの背景には、アパレル市場の縮小と供給量の増加があるようだ。バブル期に15兆円あった日本のアパレル市場は2016年までに10兆円へと3分の2に縮小した。一方で、供給は40億点と倍増している。需給ギャップの拡大が、そのまま廃棄量の増加に直結している。

Image Credit : YouTube by info Psychic VR Lab

廃棄問題を解決するSTYLY

その廃棄問題を解決するために、VR(Virtual Reality)技術を活用する機運が生じている。STYLY(スタイリー)は、株式会社Psychic VR Labが開発したクリエーター向けVRプラットフォームだ。デザインした各種の3Dモデルをブラウザからアップロードするだけで、誰でも簡単にVR空間を作ることが可能だ。VR空間をヘッドマウントディスプレイ(HMD)でブラウズすれば、現実に極めて近い体験をすることができる。

STYLYを使えば、VR展示会も開催できる。VR空間にモデルのアバターを登場させ、新製品などを自由に着せ替えさせ、ファッションショーを行うのだ。在庫は3Dモデルとして保存するので、現実の展示会のように実物の在庫を用意する必要がない。展示会を運営するためのスタッフも必要なく、そのための人件費も必要ない。体験型のイベントとして提供でき、何よりも廃棄そのものを削減できる可能性が高い。

Image Credit : YouTube by info Psychic VR Lab

VR×ファッションの限界

良いことづくめのようなStylyだが、デメリットもある。何といってもVR空間で体感した商品のサイズが、実際に着てみると完全に合わないリスクがある。試着をせずに3Dモデルと実際の体とをいかにフィットさせるかが現実的な問題として残るだろう。また、3Dモデルを実際に商品化した際のパーセプションギャップが生じる可能性もある。

いずれにせよ、アパレル業界の廃棄問題は今や待ったなしのフェーズにある。VR技術の進化が進む今後、VR技術を活用して廃棄問題を解決するという機運が、今後さらに高まることは間違いないだろう。アパレル業界全体のサスティナビリティ確保のためにも、こうした技術は積極的に活用すべきだ。


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